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シン・ドンイル監督、再始動!Part2 [韓国映画]

 (Part1より承前)

 最新作『컴, 투게더(Come,Together)』(仮題)の主なストーリー、キャスト、スタッフは次の通り。
 (STORY)

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 時は現代。
 ソウル市南部郊外に位置する新興都市、盆唐区・城南市。
 ここは再開発で富裕層の街として知られるようになったが、今も昔のソウルを偲ばせる風景があちこちに点在している場所だ。

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 そこで暮らすポング(イム・ヒョンググ)は中堅企業の社員だったが、突然解雇されてしまう。

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 だが、妻ミヨン(イ・ヘウン)は、クレジットカード会社という熾烈な職場で営業を担当しており、夫をかまっている余裕など無い。
 二人には大学受験を控えたハンナという一人娘がいたが、結果は芳しく無く、補欠合格を控えて、情緒不安定の苛ついた日々を過ごしている。

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 そんな気まずい時期、ポングは上の階に住むホジュン(=キム・ジェロク)という中年男性が起こす騒音に怒り、抗議しに行くが…

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 ありふれた中流家庭に突然降りかかった予期せぬトラブル。
 彼らの一週間を通して描く、家族の別離と再生、心の旅路を描く。


 (キャスト)
 ●イム・ヒョングク(임형국)
 …(映画『ひと夏のファンタジア』)
 ●イ・ヘウン(이혜은)
 …(TVドラマ『冬のソナタ』、映画『七級公務員』)
 ●チェ・ビン(채빈)
 …(TVドラマ『華政』『抱きしめたい』)
 ●キム・ジェロク(김재록)
 …(映画『訪問者』『クロッシング』)

 (スタッフ)
 ●製作:シン・ドンイル
 ●脚本:シン・ドンイル&ハン・ジス(한지수)
 ●撮影:キム・ボラム(김보람)
   …(映画『철원기행』)
 ●音楽:クォン・ソンモ(권성모)
   …(『視線の向こう -真実のために-』)

 ちなみに、舞台が城南市になっているが、これは映画で非常に重要なテーマの一つでもあるという。

 監督は今回の作品について曰く、「自分の作品で一番普遍性がある」と語り、本作でイム・ヒョングクの本格的なブレイクを狙いたいとのことである。

 おそらく、韓国での一般公開は2017年度以降になるのでは?というのが筆者の実直な意見だが、ひとまず、シン・ドンイル監督のリブートを歓びとともに期待したい。

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※本記事および写真の転用やコピーはご遠慮下さい。
※本作品の詳細は直接、韓国側にお問い合わせ下さい。

シン・ドンイル監督、再始動!Part1 [韓国映画]

 映画監督シン・ドンイル(신동일)。

 韓国独立系映画の雄である彼の名前を日本で知る人は多くない。
 だが、韓国で商業公開されたの作品のほとんどが、日本で劇場公開、もしくはDVD化されているから、題名を聞いて「ああ、あの映画の監督?」と頷く人は意外に多いのではないか。

 良心的兵役拒否がテーマの『訪問者(방문자)』、男同士の友情が招く破滅的な男女の激突を描く『僕の友人、その彼の妻(나의 친구, 그의 아내)』、そして在韓外国人労働者の過酷な現実を直球で見せつけた『僕たちはバンドゥビ(반두비)』が、日本では知られていると思う。

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 シン・ドンイル監督はプロデューサーとしても優れた洞察眼を持っていて、彼の作品出演以降、注目された俳優に、キム・ジェロク、カン・ジファン、ホン・ソヒ、ペク・チニなどがいる(チャン・ヒョンソンやパク・ヒスンについても、再評価に繋がったという言い方が出来るかもしれない)。

 手掛ける作品はインディーズ枠であるため、上映館数はいつも少なく、興行も決して良いとは言えないが、世間一般が考えるよりも、韓国映画界で注目されている映画監督の一人なのではないだろうか。

 だが、そんな彼も、『僕たちはバンドゥビ』と『視線の向こう -真実のために-(短編)』以降、しばしの沈黙を余儀なくされることになる。

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 そこには韓国独自の事情、業界が抱える構造的問題も垣間見えるが、最近十年間あまり、若手インディーズ作品が過剰に韓国内で製作、公開されるようになったことも無関係ではないだろう。

 業界からすれば「人材発掘」という大義名分もあるのだろうけど、そのせいで一層、中堅やベテランが干されてしまうという状況が、インディーズ映画の分野でも起こってしまっている。

 このように、傍で観るよりも厳しい状況の韓国インディーズ映画界だが、遂にシン・ドンイル監督&プロデュースの長編新作が、約七年間の沈黙を破って始動した。

 新作のタイトルは
『컴, 투게더(Come,Together)』(仮題)。

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 2015年11月21日に撮影をスタート、12月中には終了し、ポスト・プロダクション作業を経て完成済み、現在(2016年4月現在)時点で、公開待機中となっている。

 正式な一般公開日はまだ未定だが、2016年の釜山国際映画祭で初上映後、年内の韓国公開を目指す予定だ。

(part2に続く)
※本記事を元にした転載やコピーを行うことはご遠慮下さい。
※『Come,Together』詳細については直接、韓国側にお問い合わせ下さい。

Vol.534 2016年 謹賀新年 [韓国と関係ない話]

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2016年 明けましておめでとうございます。

 最近滞り気味の本ブログですが、実は、約15年に渡って続いてきた韓国絡みの問題が一つ解決したため、2014年度を以って、とりあえず韓国との関係はお休みとしました。

 奇しくも、韓流ブームの反動から来たかのような「嫌韓・反韓ブーム」が時期的に重なったのは全くの偶然ですが、これもまた、「神の見えざる手」なのかもしれません。

 不定期ではありますが、時々更新する予定ですので、今年度もよろしくお願い申し上げます。

 2016年吉日
 さるすべり拝

Vol.533 消えた男 [韓国生活]

 韓国の知人、A氏とは仕事を通して知り合った。

 身の丈は185センチを超え、恰幅もよく、顔立ちはそれなりに濃い韓国風、いつも黒い服を着ていたので、まるで韓国映画に出て来る組暴のような風体だったが、中身は全く逆で、温和かつ絵に描いたようなジェントルマン、丁寧な気配りができる人物だった。
 OLの奥さんと共働きで、娘が一人いるという。

 高校時代には無理やりニュージーランドに留学させられたが、周りには羊しかおらず、とっても寂しかったと語り、学生時代から筋金入りの野球好きで、社会人になってからも草野球チームで積極的にプレーしていた。

 それほど親しい訳ではなかったが、A氏は筆者が今まで出会った韓国人男性の中で、飛び抜けて「いいヤツ」だった。

 やがてA氏は独立し、会うこともなくなってしまったが、たまに連絡すると仕事自体は順調らしく、新林洞界隈から盆唐の新都市に家を引っ越したという。
 そして彼からの最後のショート・メールには「今、中国にいるので会えません」と書かれていた…

 …A氏と音信不通になって数年後。

 以前A氏を紹介してくれた会社社長B氏とソウルの下町で飲む。
 そこは外国人観光客がやってくるような場所ではないが、再開発が進み、中堅の住宅街となり、新興企業も増えてと、中々活気ある所だ。

 最近の状況をB氏に尋ねると、やはり事業は悪化しているらしい。
 筆者はいつも半分冗談で彼に「いい加減、会社たたんで故郷へ帰れよ」と言ってはいたけれど、その問いかけに対して「今度新しい事業を始める」と答える。
 なにやら中継貿易の仕事で、うまく行けば今より遥かに儲かるという。

 「そんじゃ、新事業が成功したら、お金貸してくれ」半分冗談で具体的金額を言うと、「いいよ!」と二つ返事。

 でも、これは韓国でよくある会話パターン、それ以上は突っ込まず(本気にせず)、以前から心の隅に引っかかっていたA氏について何か知らないか、尋ねてみた。
 なぜならB氏とA氏は長い友人関係にあるからだ。

 「A?彼は消息不明だよ」
 「ええっ!?」
 「…もしかすると中国で暮らしているんじゃないかな?」

 ここまでは、A氏から直接聞いていたので想定内、「やっぱり」という感じだったが、その後の会話に筆者は足を掬われた。
 「中国にいるって、そんじゃ、奥さんや子供はどうしたんだ?まだ娘は小さいし、奥さんは会社勤めだろ?」

 それを聞いて、今度はB氏の方が驚いた。
 「えっ?Aに奥さんと子供がいるって!?、そんな馬鹿な。彼は結婚していないよ。たしか、母親と兄しか家族はいないはずだ」
 「れれれれっ!???」

 でも、考えてみれば、そのB氏同席の場でA氏が家族を話題にした記憶はない。
 A氏の家族の話題が出るのは、いつも他の連中と一緒に飲んでいる時だったような気も…

 結局、A氏は今も不明で、彼の家族についても、その真相は謎のままだ。

 「みんな言っていることが違う」というのは韓国人と付き合う上でよくあることなので、おそらく誰かが嘘をついているか、勘違いしているか、筆者が騙されているだけなのかもしれない。

 それに「他人の金を持ち逃げして外国にトンズラ」という「韓国人あるある」的な噂も聞かないので、とりあえずA氏は誰にも迷惑を掛けてはいないのだろう。

 だから、筆者はA氏の消息を追うのをやめたけど、今もどこかで、彼は元気にやっているのだろうか。
 幻の妻子と共に……

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Vol.532 機械うどん、B級至高の味 [韓国の食]

 筆者は基本的に韓国の麺料理店に対して否定的なのだが、幾つか少数の例外が存在する。

 その一つがソウル某所に昔から居を構えている、ズバリ「機械うどん」だ。

 「機械うどん」とは、店内で製麺を行ったうどんのことを指し、この店では注文を受けるとその場で製麺を行い、調理にかかる。

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身も蓋もない店名…

 その「店名=調理方法」というストレートさに、最初は「なんじゃ、こりゃ?」と少し驚いた。

 もちろん、店で製麺を行っているお店はここだけではない。
 カロスキルのおしゃれなククス屋で遭遇したこともあるが、そこの「機械で製麺」は空間演出のアクセサリーに過ぎなかった。
 お高い割に味はイマサンで、喜ぶのは観光客ばかりといった風情だった。

 今回の「機械うどん」は、ソウルの下町にある、すぐにでも取り壊し対象になりそうな古い雑居ビルの一階にあり、製麺機が年季の入ったモノであることから察して、かなり前に開店し、ずるずると「うどんの名店」としての地位を地元で確立してしまったのではないだろうか?

 それゆえ、いつまで生き残れるか非常に不安ではあるが、いつも客で一杯だ。
 値段が相当安いということもあるが、かなり美味しいのである。
 東京で同種・同味のお店があれば、「懐かしきB級グルメ」としてマスコミの紹介必至だろう。

 店内は韓国の古い建物に特徴的な奇妙かつ使いにくい間取りになっていて、混んでいる時は勝手がよくないのだが、回転が早いので少し待っていれば、たいして困ることはないし、その効率の悪さこそ、今の韓国で失われつつある魅力の一つであると思えば、店内の汚さと共に一つの個性として楽しめるはずだ。

 メニューはシンプル。

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これだけ

 看板メニューの「うどん」の場合、薄口の上品なスープに加水率が低いと思われる硬い太麺、しょぼい具が載っているだけというシンプルなものだが、麺の旨さが引き立ち、量もそこそこある。

 だが、筆者一番のお勧めは「チャジャン麺」だ。
 中国料理屋ではないので味付けは一般のものとやや異なる印象(かなりあっさりしている)だが、固めの麺に熱々のチャジャンという組み合わせは非常に美味しい。

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「うどん」の方は撮り忘れました

 韓国の麺料理は年々レベルがあがり、評判のいいお店を探せば、それなりのモノを食べることが出来るようになって来ているが、加水率の低い自家製麺を出す店は少ない。

 「機械うどん」という変な店名も相まって、このお店には、しばらくは現状のままで頑張って欲しいものだ。

 立地場所が微妙なところもいい。
 江北、江南方面からは行きにくい場所にあるが、時間をかけて食べにゆく価値のある名店といえよう。

 さぁて、また食べにゆこっと!!

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素敵な製麺機…



Vol.531 今思えば名盤かも?『同い年の家庭教師』 [韓国映画音楽(OST)]

 『동갑내기 과외하기』(日本公開時題名『同い年の家庭教師』)は2003年3月に公開され、韓国内動員数約380万人を記録した青春コメディだ。

 この作品のヒットによりクォン・サンウは本格的に良くも悪くも普遍的な「スター」へ躍進することになり、キム・ハヌルはそれまでよりもさらに映画女優として認められるきっかけとなった、そこそこにエポックな作品だが、韓国公開当時「スター不在」「低予算」「興行端境期の公開」「新人監督」とダメダメ四拍子が揃っていたため、映画関係者はヒットを疑問視していたという。

 それゆえにこの作品のヒットは「低予算でスターがいなくても内容がウェルメイドなら客は来る!」という、韓国映画のビジネスモデル嚆矢にもなった。

 正直、お子様向け映画であることは否めず、クォン・サンウの「俺様」な臭い大根ぶりがとにかく鼻について仕方なかったので、私は全然面白くなく、すぐ忘却の彼方に沈んだ作品だったが、劇中で使われた「피비스 (PB’s)」が歌う『에감』だけは異常にインパクトがあって忘れがたいものになっている。

 この「피비스」というグループについて筆者は詳しくはないのだけど、元々、弘益大前駅辺りで活動していたインディーズ系らしく、『동갑내기 과외하기』のOSTは当時の彼らにとって初のメジャーアルバムと言えるものだったらしい(公式の初シングルCD発売は2005年)。

 曲は韓国インディーズ系のスタンダートというか、かなり個性的で、とにかく明るく前向きだが、ヴォーカルはおばさんが声を張り上げているようにしか聞こえず、メロディーも古いのか新しいのかよく分からない、ジャンル不明のヘンなものが並んでいる。
 それは一度聞いたら真夏のセミの声如く、耳に焼き付いてしまう。

 このCDを聴くことがほとんどなくなった今でも、私の脳裏には피비스ヴォーカルのパワフルな歌声が突如脳裏に浮かんでは消えたりするので、もしかしてサブリミナル効果が仕込まれている?

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クォン・サンウは「しくじり先生」に出て欲しいです。

Vol.530 またこいや [韓国の食]

 ソウル・乙支路某所にある『又来屋(우래옥)』は昔から冷麺の名店として知られている。

 現在ある店舗は何年か前に新築、移転した建物で、昔はもっと建物群に埋もれた裏路地にあった(場所が分かりにくいには今も同じだが)。

 筆者が初めてここを訪れたのはもう、20年も前のことだ。

 当然、この店が掲げる冷麺屋としてのステイタスなど知るはずもなく、同行した知人のアドバイスに従ってビビン冷麺を食べたが、年配の日本人団体客が居て、ひたすら下品に「骨付きカルビ!、骨付きカルビ!」と騒いでいたことばかりが印象に残っている。

 ここ数年、冷麺食べ歩きが楽しみの一つになった筆者は、どんな味だったか思い出そうと、在韓日本人の知人を誘って、久しぶりに又来屋を訪れた。

 当然のことながら、以前とは全く違う装いになっている。
 だが、よくあるへなちょこな韓国現代建築ではなく、昔の雰囲気が漂う懐かしい様式の低層ビルだ。

 中はまるでホテルのロビー、コーヒーカウンターがあったりして、座席が空くのを待っている家族連れが大勢いる。
 皆、それなりに裕福そうだ。
 多分、中流以上の人たちが多いのかもしれない。

 内装は豪華で、ちょっと独特だ。
 昔の韓国でよく見かけたようなインテリア・デザインになっていて、日本でいえば40年以上前に都市部で見かけたような懐かしさが漂う。

 係の案内に従って席につく。
 従業員教育は徹底しているようで、これまた、お高いホテルの如く。
 料理の値段は当然高く、どちらかといえば特別な日に来るような店であり、観光客が酔ってくだ巻くような大衆店ではない。
 だが、その韓国的というか、「朝鮮的ツンデレさ」が逆によかったりする。
 ソウル市庁近くにある平壌式冷麺を出す某有名店が、デレデレに外国人観光客向けの店として特化していることと対称的だ。
 『又来屋』の「朝鮮的ツンデレさ」とは、創始者&経営者側のこだわりなんだろう。

 高級店にかかわらず、前払い制なのは意表を突かれるが、客の回転を考えた上でのことかもしれない。
 周りを見渡すと日曜ということもあるのだろうけど、プルコギを注文している客が目立つ。
 筆者はプルコギ嫌いなので進んで食べることはまずないけど、ここだったら一度食べてもいいかな、などと考える。

 注文後しばらくして、冷麺(ムルネンミョン)が運ばれてきた。
 量が結構あるから値段相応かな?

 麺はおとなしい感じで特に際立った感じはないが、日本人には馴染みやすい味、スープも上品でくどくない。
 ただ、温麺で食べた方が、ここの麺玉は旨味が活きそうな気もする。

 日本で韓国の温麺はポピュラーではないが、上品な「とんこつラーメン」といった気がしないでもなく、個人的にはおすすめだ。

 今回、気になったのは冷麺に載った白菜の漬物である。
 おそらくキムチの一種なのかもしれないが、これが非常に不味い。
 千切りになっているので食感が悪くなっていることもあるが、麺とスープに全然あっていない。

 この「又来屋」に来ることは当分ないとは思うけど、ソウルで平壤式冷麺食べるなら、筆者はやっぱり「乙支路麺屋」の方かな?

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これも写真を忘れました…

Vol.529 伝統食が消えてゆく [韓国の食]

 筆者は韓国の食品流通事情がよく分からないが、ソウルその他のマーケットやら農協やらをぶらついている経験から考えてみると、ここ十五年位の間に様相が大分変わったのではないだろうか。

 「だいぶ変わった」というのは、生産者から流通に乗って消費者に届くまでの仕組みが、昔よりも「上からの力」で一本化、均一されているのではないか、ということである。

 そう思う理由として、お店に並ぶ品物が大手企業系列のものばかりになり、地方で細々と生産されているようなマニアックな名品が目に見えて減ったことがある。

 もちろん単に売れないから中央に出てこなくなったのかもしれないし、毎度おなじみ、財閥大手による中小・零細生産者の駆逐が進んだのかもしれないが、特に食材の分野でこの全国均一化がやたら進み、韓国での買い物がやけにつまらなくなってきている。

 かつて巷のコンビニであっても、そこがフランチャイズでなければ、訳の分からない製品が細かく並び、個人経営の食料品店などでは、独自ルートで仕入れたと思われる地方企業の製品が置いてあることは珍しくなく、「日本にない」という点では非常に面白いものがあったが、今の韓国、特にソウルでは、そういうものは壊滅状態になった。

 地焼酎や地酒、地テンジャンや地コチュジャンなども、十年くらい前までなら、そこそこ手に入ったが、今では、どんどん「幻」になっている。

 筆者が好きな銘柄のテンジャンは既に入手が困難になり、生産地の通販サイトで探しても見当たらなくなった。
 そういった特別なものでなくても、以前は楽しみの一つだった風味豊かな独特の清涼飲料やジュース類も、ほとんど店頭で見かけなくなった。
 だが、それらは特別な製品ではないのだ。

 結局、一般のお店で入手できるものは日本で入手できる「韓国食品」と対して変わらなくなってしまった気がするのである。

 色々な分野で自文化の「国際化」と「優位性」、「多様化」を標榜し続ける韓国ではあるけれど、伝統的な食文化は、つまらないモノクローム化がどんどん進んでいるように思える。

 対外的に、臭いキムチやら、食べ方が汚いビビンパブやら、TVドラマに合わせて創作されたような怪しい宮廷料理を無理やりアピールするよりも、昔ながらの朴訥なもの、一般家庭で普通に食べているものを大切にして、維持してゆく方が今の韓国の食では、より必要なのではないか。

 そして外国人たちが、それらに対して独自に価値を見出してゆくことこそ、韓国食の普遍化、第一歩だと思うのだが…

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数年前、ソウル某所で購入したテンジャン。
今だ使用中ですが、熟成して美味しくなっています。


Vol.528 ふにゃふにゃだけど [韓国の食]

 地下鉄三号線『狎鴎亭』駅から地上に出てすぐ、やや裏の通りの雑居ビル二階に「안동국시」はある。

 「안동국시」とは「慶尚南道・安東地方周辺式の국수」という意味だが、そのまま店名になっている。

 ソウルで「안동국시」の類いを出すお店は意外と少ないのだが(というか、続かない)、狎鴎亭にあるこの店は、もしかしたら、ソウルにおける草分けなのかもしれない。

 お店が開店したのはかなり前の事で、老舗の部類に入るから、食堂の廃り流行りが凄まじいソウルで、しかも狎鴎亭の一等地で定着しているということは、隠れた人気店なんだろう。

 국수がメイン料理なので店のメニューはシンプルだが、수육や전、만두の類も置いてある。
 他の人の注文を見ていると、「국수+その他」の組み合わせを注文していることも多いが、국수単品でも量が結構あるので、一人の時は注意である。

 국수には温麺と冷麺二種類あるが、レシピ的にはおそらく大きな違いはない。
 スープは牛骨ベースの薄い醤油味の澄んだもので、あっさりしているがコクがある。
 冷麺のスープから동치미を抜いたような味でもあるが、冷やしたものも十分美味しい。

 この店の特徴は、おそらく麺そのものにある。
 きしめんに似た形状だが幅は狭く厚みもなく、ワンタンの皮を細切りにしたような麺で味もそれに近い。
 そのためか、かなりプヨプヨの柔らかい状態で出てくるのだが、これが予想外にいけたりする。
 煮溶ける寸前といった感じだが、スープと良く絡んでいるのだ。
 生麺を使っているが、乾麺だとこの食感と味わいは出ないかもしれない。

 値段は昔からやや高めだが、それは仕方ないだろう。
 場所の問題もあるだろうけど、麺もスープもちゃんとしたものを提供し続けているからだ。

 日本におけるラーメンや素麺とはちょっと異なる麺料理だが、博多うどんなどにコンセプトが近いかもしれない。

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写真撮るの忘れました…

Vol.527 ある俳優の死 [韓国カルチャー]

 2015年6月。
 韓国のマスコミで二人の男優の死が報じられた。

 一人は김운하(=김창규)氏(40)で、ソウル市内にある考試院の一室で病死しているところを、もう一人、판영진氏(54)は、高陽市自宅近くの車中で自殺しているところを発見された。

 なぜ、この二人の死が韓国で少々話題になったかと言えば、共に世間では無名の中年男優であり、恒常的に生活苦を抱えていたらしいということであり、それは「韓流」という虚偽から遠い位置にある職業俳優たちの「リアル」でもあったことが大きいと思う。

 「売れない俳優が生活に困っている」
 そのこと自体は日本でも珍しくない話だし、スターになればなったで「板子一枚下は地獄」な訳だから、「俳優の生活苦がどうたら、社会福祉がどうたら」といった批判に便乗して何か言う気はサラサラないのだけど、このニュースがなぜ個人的に衝撃的だったかと言えば、筆者は판영진氏が主演した『나비두더지』(2006年度作品/2008年2月22日 韓国一般公開)を、ソウルの映画館で公開当時観ていたからなのである。

 この『나비두더지』という映画は観客動員数が全国で合計126人(!?)であり、いくら主演でも판영진氏を「映画俳優」と平然と呼ぶには違和感をおぼえてしまうのだけど、ワタクシ的には、その年の韓国インディーズ作品中で確実にBESTな一本でもあった。

 いわゆる「アートフィルム」ではあるが、一種の変形サスペンスであり、ダーク・ファンタジーであり、ロケ撮影を上手に活かした特異な世界観の中で、過酷な地下鉄運転手業務に疲れた主人公を판영진氏は好演していたのである。

 劇中の彼は地味で華のない人だったけど、演技は味があったし、なによりもうらぶれてしまった中年男の辛さと孤独がよく滲み出ていて、地下鉄4号線がエンドレスで高架上を走り続ける不気味なラストシーンがとても印象的だった。

 판영진氏の俳優としての経歴はよく分からず、自宅が高陽市だったことから察すると、おそらく俳優業とは別の仕事をしていたか、家族・親戚筋から援助を受けていたのではないかと想像している。

 김운하氏の孤独死については、かつて筆者が考試院で生活していた経験から考えれば、まさに「韓国のリアル」であって、俳優として基本的に舞台の人だったという話を聞くと、これもまた切なく哀しく思うのだった。

 映画出演本数は김운하氏の方が多いようだが、皆端役であり、その何本かを筆者はソウルで観てはいても、残念なことに誰が彼であったのか、全く記憶に無い。

 二人の死を報道した韓国マスコミ本当の狙いの一つが、毎度おなじみの現政権叩きにあったとすれば、それは別の意味で不幸なことではあるのだけど、なによりも亡くなられた二人のご冥福を祈りたい。

 合掌。

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판영진氏唯一の主演作


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김운하(=김창규)氏、最後の出演作と思われる


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