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Vol.342 チョ・ジェヒョン、原点に還る/『민들레 바람되어』 [韓国俳優]

 俳優チョ・ジェヒョン(조재현)は、基本的に舞台の人なんだろうと思う。

 他のスターたちが、映画その他で高額な出演料を取ることができる立場になった途端、演劇活動を辞めちゃう傾向があることに比べて、彼は定期的に続けていた。

 東崇劇場の『エクウス』や『ハムレット』が有名だったが、チケットがすぐ売り切れてしまい、観ることがかなわない。
 そして、以前ほど舞台に立たなくもなり、半ば忘れかけていたのだけど、2011年の春、遂に『민들레 바람되어(たんぽぽ、風になって)』において、「生チョ・ジェヒョン」を観ることができた。

 この『민들레 바람되어』は、ちょっとオカルテックな話である。
 ある男の数十年に渡る妻への愛を、韓国の伝統的な話術ともいえる時間軸構成(回想を中心に話が巡り、現在、過去、未来とあっちこっち飛ぶ)で語ってゆく。

 2009年に初演された際には大きな話題を呼び、今回の舞台はアンコール企画として催されたらしい。
 長期興行のためか、主演がトリプル・キャスティングなのは同じだが、チョ・ジェヒョン以外はチョン・ボソクとイ・グァンギに刷新されての上演だ(前回はアン・ネサンとチョン・ウンイン)。
 チョン・ボソクの舞台にも興味があったけど、一番の中心は、やっぱり今回もチョ・ジェヒョンだろう。

 観た場所はソウル・惠化、マロニエ公園の裏の裏にあるコンプレックス型の劇場「アートウォンシアター」だ。
 観覧当日、観客の年齢層はかなり高く、地方から観に来ているらしい人が多かったが、若い人もそれなりにいる。

 舞台は、どこかの見晴らしのいい山の中で語らう、元夫婦らしき男女の会話から始まる(見晴らしのいい山の中、というのが重要になってくる)。
 だが、どこか話が噛み合わず、様子が変。
 ふたりは相手に対峙しているように見えても、結局、独白なのだ。
 そこに別の老夫婦が狂言廻しとして登場することで、妙に見えた理由が明らかになってゆく。

 私が観たときに、妻役を演じていたのがソン・ヒジュンという、横顔が綺麗な女優(正面は普通)で、ちょっと演技に余裕はないが、独特の聡明さがあって、それが今回の舞台にはうまく活きていた。
 特に、最後のシーンが非常にいい。

 肝心のチョ・ジェヒョンは、もう、余裕しゃくしゃくといった感じで、「チョ・ジェヒョン流メソッド」とでもいうべき、結構クセのあるスタイル。
 色々やらせれば、なんでも出来ちゃうタイプの人だが、これはこれでまたよし、無手勝流が許される若手の天才肌もいいけれど、彼のような芸風が確立したオーソドックスな演技は安心して観ていられる。

 今回の舞台では、初デートで落ち着かない青年期から、働き盛りの中年期、そして静かに死を迎える老年期までを、最低限のメーキャップで演じわける。
 そこに「怖い人、悪い男」のイメージはなく、ホンワカな普通のオッサン系だったりするところが、彼の「素」がちょっとだけ、垣間見えているようでもあった(体はよく鍛えていました)。

 最近、チョ・ジェヒョンは政界入りに意欲を見せているという噂もあるけれど、その原点が演劇にあるのなら、一時は離れても、いつかは再び舞台に戻って欲しいな、と思うのだった。

 上演が終わり、舞台の裾へ行ってみる。
 一面、芝生が敷き詰められていたので、人工芝かと思いきや、生の芝生だ。
 舞台の上でも、チョン・ジェヒョンはカップラーメンを作って食べ、焼酎の口金をぱりん、と開けて飲んでいたけど、あれも本物だったんだろう…

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