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Vol.531 今思えば名盤かも?『同い年の家庭教師』 [韓国映画音楽(OST)]

 『동갑내기 과외하기』(日本公開時題名『同い年の家庭教師』)は2003年3月に公開され、韓国内動員数約380万人を記録した青春コメディだ。

 この作品のヒットによりクォン・サンウは本格的に良くも悪くも普遍的な「スター」へ躍進することになり、キム・ハヌルはそれまでよりもさらに映画女優として認められるきっかけとなった、そこそこにエポックな作品だが、韓国公開当時「スター不在」「低予算」「興行端境期の公開」「新人監督」とダメダメ四拍子が揃っていたため、映画関係者はヒットを疑問視していたという。

 それゆえにこの作品のヒットは「低予算でスターがいなくても内容がウェルメイドなら客は来る!」という、韓国映画のビジネスモデル嚆矢にもなった。

 正直、お子様向け映画であることは否めず、クォン・サンウの「俺様」な臭い大根ぶりがとにかく鼻について仕方なかったので、私は全然面白くなく、すぐ忘却の彼方に沈んだ作品だったが、劇中で使われた「피비스 (PB’s)」が歌う『에감』だけは異常にインパクトがあって忘れがたいものになっている。

 この「피비스」というグループについて筆者は詳しくはないのだけど、元々、弘益大前駅辺りで活動していたインディーズ系らしく、『동갑내기 과외하기』のOSTは当時の彼らにとって初のメジャーアルバムと言えるものだったらしい(公式の初シングルCD発売は2005年)。

 曲は韓国インディーズ系のスタンダートというか、かなり個性的で、とにかく明るく前向きだが、ヴォーカルはおばさんが声を張り上げているようにしか聞こえず、メロディーも古いのか新しいのかよく分からない、ジャンル不明のヘンなものが並んでいる。
 それは一度聞いたら真夏のセミの声如く、耳に焼き付いてしまう。

 このCDを聴くことがほとんどなくなった今でも、私の脳裏には피비스ヴォーカルのパワフルな歌声が突如脳裏に浮かんでは消えたりするので、もしかしてサブリミナル効果が仕込まれている?

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クォン・サンウは「しくじり先生」に出て欲しいです。

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Vol.526 名盤紹介『怪物(괴물)』 [韓国映画音楽(OST)]

 今では韓国を「代表する」というよりも、世界の現役映画監督百選に入るだろう、ポン・ジュノ(봉준호)。
 彼が偉いのは、国際的に注目されても韓国という土壌から決して離れず、チャンスをドメスティックなテーマの作品に活かし続けていることだろう。

 その作風は一見大衆性に富んでいるように見えるが、実はかなり前衛的でもあり、「言わぬが花なり」に沿った物語作りが特徴でもあると思う。
 
 ポン・ジュノ作品は、使われる音楽の面でもシュールだ。
 映画そのものと密接に関連した曲作りが行われていて、音楽だけで聞くと、集中力を要したりする。

 ポン・ジュノ作品で音楽を考えた時、まず思い出すのは岩代太郎が手がけた『殺人の追憶(살인의 추억)』だろう。
 曲そのものが作品を象徴していて、何度聞いても無常感と切なさが脳裏に浮かんでくる。

 この『殺人の追憶』OSTが気に入った私は、次の話題作『怪物(괴물)』にも大きな期待を抱き、OST-CDが発売されてすぐ購入したのだが、正直困惑した。
(※)日本公開時題名は恥ずかしいので、ここでは割愛

 この『怪物』で音楽監督を務めているのは自らもミュージシャンとして有名なイ・ビョンウ(이병우)なのだが、映画との密接度、そして実験性といったものが『殺人の追憶』より遥かに濃くなっており、単体で聴くにはあまりにもシンドい内容になっていたのである。

 でも、考えてみれば、この作品の音楽にイ・ビョンウが関わっている時点でそれは予想できたことかもしれない。
 なぜなら、日本でもOST-CDが発売された『장화, 홍련』(オムニバス『Three』の曲を含む)は、美しい旋律ながらも気軽に聴くことを明らかに拒否しているような内容だったからだ。

 『怪物』はその度合に一層拍車が掛かったといえるかもしれず、通して聴くには疲れるが、時には奇っ怪で難解でも、絶えずユーモラスな曲群は、映画音楽というよりもポン・ジュノとイ・ビョンウによる「語り」だったのでは、とも思うのである。

 そこに価値を感じるか拒絶するか、聴く側は二者選択を迫られるような内容ではあるが、敢えてこういうOSTを出したことは高く評価したい。

 でも、今だったらシュール過ぎてCD販売は無理だったのでは??

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Vol.519 名盤紹介 『バンジージャンプする(번지 점프를 하다)』 [韓国映画音楽(OST)]

 『バンジージャンプする(번지 점프를 하다)』は2001年に公開された韓国映画群の中で、飛び抜けて異彩を放つ作品だった。

 その特異なプロットは「隠れホモ映画」とも揶揄され、一部の保守的な人々にはバカにされたが、公開当時、口コミ的な支持を集めて、スマッシュ・ヒットになった。

 この作品が韓国で公開される前、このことを予想した関係者は、かなり少なかったのではないだろうか?

 当時、現地で観た日本人の間でも割りと評判になり、美しい映像も相まってか、幾つかの日本の会社が買い付け交渉に臨んだが、韓国側売り手が韓流バブルを見込んで価格を釣り上げ、なおかつ他作品との抱合せ販売にしか応じなかったので、日本公開は、しばらくを待たなければならなかった(※)。
(※)日本公開は2005年4月

 今ではイ・ビョンホン人気に便乗してか、日本でも結構知られた作品になったが、当時の彼は俳優として今ほど過剰に偶像化がなされておらず、本当の意味で個性派だったと思う。

 この作品のOSTについて語る時、全ては主題歌に使われた、キム・ヨヌ(김연우)が歌う『오그대는 아름다운 여인』に尽きる。
 澄み切った高音のボーカルで奏でられる美しいバラードは、この曲に対して原体験が無い外国人でもそれなりに心打たれるはずだ。
 衝撃のラストを迎えた時、この『오그대는 아름다운 여인』が流れ、映画は終わるが、それは感動というよりもトラウマ経験だった。
 
 『오그대는 아름다운 여인』は、元々、韓国の伝説的ロック・バンド『들국화(野菊)』が歌っていたものが原曲で、軍事政権下で多感な時代を過ごした人々にとっては特別な曲かもしれず、1967年に生まれた監督のキム・デスン(김대승)にとっても、色々と複雑な想いがあっただろうことは想像に難くない。

 私もかつて韓国でミュージシャンをやっている知人から、この『들국화』を勧められたことがあった。

 彼は韓国の音楽シーン全般に漂う安易さに対して、いつも懐疑的だったが、この『들국화』は韓国のロックでも全く別、と語っていた記憶がある。
 
 2000年代に入り、日本では特定企業が販売を行う音楽とグループばかりが「K-POP」と称され派手に喧伝されたおかげで、韓国の音楽を聞く人は良くも悪くも増えたが、政治的メッセージや庶民の哀しみや喜びを込めた、時代を反映した韓国らしい曲や、それを歌うアーティストたちは、まだまだ、まともに紹介されていないと思う。

 この『오그대는 아름다운 여인』は、泥臭くとも韓国の音楽が持つ独自の音楽力、特にバラードが持つ力を侮ってはいけないことを改めて認識させてくれる名曲だろう。

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Vol.500 名盤まで行かないけど…『방은진 우리 영화 음악을 만나다』 [韓国映画音楽(OST)]

 韓国映画のOST盤には以前からコンピレーション・アルバムがあまり存在しない。
 決して無いわけではないが種類はかなり少なく、韓国における音楽CD市場が瓦解し、OST盤自体がますます発売されなくなって来ている今、新たな製品を期待することは一層絶望的かもしれない。

 そんな中で今回紹介する『방은진 우리 영화 음악을 만나다』は、2010年に発売された韓国映画OSTのコンピレーション・アルバムである。
 ここ最近十数年、韓国で製作・公開された名作・珍作・怪作の中から代表的な曲をピックアップ、構成した内容で、韓国映画OST入門盤としてもお薦めできる、ありそうで無かった内容だ。

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 セレクトされた作品に目新しさは無いものの、それらのOSTの多くが既に稀少盤になっていることを思えば、かなりお得である。

 日本でもよく知られている作品だと、『八月のクリスマス(8월 크리스마스)』や『春の日は過ぎゆく(봄날은 간다)』、『ラスト・プレゼント(선물)』などがあり、レア物では、『NOWHERE ノーウェアー(인정사정 볼 것 없다)』とか『少女たちの遺言 メメント・モリ(여고괴담2)』、『吠える犬は噛まない(플란다스의 개)』などの曲が収録されている。
 ただ、CD枚数が4枚もあって、ここまで分ける必要があったのか?という気がしなくもない。

 曲のセレクトを行った(ということになっている)のは、今では映画監督としてすっかり認知された방은진だ。
 元々は個性派女優で、日本でも『301,302』だとか김기덕の『受取人不明 』なんかで知られた人であり、必然性があれば脱ぐことをいとわない、この世代には希少なタイプの女優でもあった(美人かどうかはメイクでだいぶ変わる人なので、気になる方は韓国のサイトで調べて下さい)。

 彼女も韓国芸能界の通例通り、三十過ぎると出番が減り、あまり見かけなくなってしまったが、以前から演出畑志望だったらしく、映画監督へ転身を図り、2005年に公開された『오로라 공주』で本格的なデビューを果たし、『容疑者X』の成功で注目されるようになった。
 2013年末に公開された『マルティニークからの祈り(집으로 가는 길)』は興行がイマイチだったものの、細やかな演出が光る好編だった。
 光復節以降の韓国映画史を綴ったドキュメンタリー『映画板(영화판)』にもちょっとだけ出演しているが、ほとんどすっぴん、日焼け顔で小じわがやたら目立つという、すっかり映画屋らしい顔になっていたので、ちょっと驚いた。

 たぶん、『방은진 우리 영화 음악을 만나다』は女優ではなく、「映画監督방은진」としてのセレクトという企画なんだろう。
 あえて音楽CD形式での販売だったのも、一種のこだわりだったんじゃないのだろうか?

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Vol.466 名盤紹介 『후 아 유』 [韓国映画音楽(OST)]

 少し前、行きつけの飲み屋で店番をしていた男性がラジオから流れる音楽にノリノリで身をくねらせ始めたことがあった。

 かつてよく耳にしていた曲だったので、「なんだっけ?」と尋ねたところ、2002年の韓国映画『후 아 유』(日本で公開済)で使われていた「차우차우」という曲だった。
 もう十年前以上の曲だけど、今だ好きな人がいるんだなぁ、とちょっと感動する。

 当時『후 아 유』で使われた曲は複数のクリエイターがインターネットでデータのやり取りをして製作したということが話題になったが、日本ではやっとADSLが走り始めていたような時代だったので、そんな話を聞いても現実感が無かった。
 だが、打ち込み系やシンセ系で構成されたプラグインがビジバシな内容でも不思議と温かさがあって、決して安っぽくはない。

 『후 아 유』は『춘향뎐』でいきなり大役デビューを果たした(演技の評判は散々だったが…)조승우の主役第二弾でもあったが、当時はまだまだ無名だったこともあってか、映画自体の興行はパッとしなかった。
 おそらく劇場で観た人の方が少ないんじゃないだろうか?
 でも作品の方も当時の前向きで明るい風潮がとても良く出ていて悪くない。

 このOST盤は今でも『버스, 정류장』と並んで2000年代初頭における名盤の一つだったと思うし、조승우のひどい歌や俳優二人のナレーションを除けば、時代性を反映した良い曲が幾つも収録されている。
  兵役で活動休止する前の“Crying Nuts”の曲も一曲含まれていたりして、結構お得な内容だ。
 初めて聞く人には全体的に古臭いかもしれないが、それもまた、韓国らしい個性でもあったんじゃないだろうか。

 そして、この『후 아 유』のOST盤にも、金大中政権当初に韓国中で漂っていた夢と希望に満ちた明るい空気が見事に詰まっていたと思うのである。

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Vol.454 名盤紹介 『버스,정류장』 [韓国映画音楽(OST)]

 韓国において音楽CD市場が崩壊して久しい。
 専門店はあるけれど、客の中心は外国人だったりする。
 ジャズやロックの中古レコードなんかと同様、音楽CDにもコアなファンはもちろんいるけれど、多くの新譜、特にマイナー系は最初からダウンロード販売だったりするので入手が面倒くさくて仕方ない。

 韓国映画のOSTはそういった被害をもろに喰らったマイナー分野の最たるものだ。
 逆にダウンロード販売のおかげで「えっ!?」みたいな作品の音源入手が出来るようにはなったけど、やっぱり手にとって触ることができる方に愛着が湧く。

 元々、韓国映画のOSTは販売数が少なく、一度売り切れると再販をしないものが多かった。
 いかれた韓流ブームのおかげで、外国人御用達の特定スターの出ている作品やTVドラマは一部再販されたが、映画好きが求めるようなマイナー系の多くは、一度売り切れたならば、中古や店頭在庫を探すしか無い。
 売れなくて長い間、店頭に転がっている場合も往々にしてあるが、これは一期一会だと思った方がいいし、街場の店舗自体がどんどん消滅しているから、これも難しくなっている。

 今回紹介する名盤『버스,정류장』も、最近ではめっきり現物入手が困難になった音楽CDである。
 一時期、韓国ではプレミアムが付いていたこともあったらしい。
 七、八年前くらいまでは店先にゴロゴロしていた商品だったのだけど…

 元になった映画『버스,정류장』(2001年 日本で公開済)自体は、ちょっと評価されたが興行的には全然で、すぐ劇場から消えた作品である。
 当時は狂気に満ちた韓国映画バブルの真っ最中、凄まじい勢いで韓国映画が製作、公開されていたが、小作品に対する上映環境は整っていなかった。
 今の韓国のようにブロックバスターとインディーズの興行形態が別れて確立された状況であれば、もう少し評価された作品ではなかったかと思う。

 ただ、この映画は劇中曲が傑出していた。
 音楽監督を手がけた“Lucid Fall”こと조윤석は、今でこそ有名だが当時はそうでもなく、高学歴ばかりが取り沙汰されていたような気がする。
 だが、その音楽性は高く、当時発売されたOSTの中でも、この『버스,정류장』は屈指の名盤だった。

 日本では偏ったマーケティングのおかげで、捻じ曲げられた形で韓国の音楽シーンは一般化してしまったが、この『버스,정류장』に収録されている曲たちは、それらと全く異なる、韓国ならではの「一つの形」であったと思う。

 素朴な旋律に淡々としたボーカル、詩情豊かな歌詞は韓国伝統のバラードの系譜を引き継ぎつつも、当時の新しい方向性を積極的に取り込んでいた。

 韓国映画のOSTは聞いている途中で「もういいや」系が多く、どうしても死蔵される割合が高いのだけど、この『버스, 정류장』は何度でも聴ける、数少ない例外の名盤であるといえる。

 日本では人気が無いらしく、かなり安い価格で売っているのを今だ見かけるので、興味を持たれた方は購入してみてもいいかも。

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Vol.249 シリーズOST名盤紹介『ペパーミント・キャンディ』~永遠の名作とはこのこと~ [韓国映画音楽(OST)]

 男は、二度と戻れない幸せな時代へ還る事を祈りながら、列車の前に身を踊らせた。

 ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン…

 やがて、時間を逆行する列車の旅が始まる。

 『ペパーミント・キャンディー(박하살당)』は、やっぱり私にとって忘れることが出来ない名作だ。
 メガホンをとったイ・チャンドンは、今ではVIPになってしまったが、この映画が封切られた当時、その名前を知っている人はあまりいなかったし、やっぱり、その名声を確立させたのは、この後の作品『オアシス』だろう。
 でも、この監督の作品群で、私にとって一番なのが、『ペパーミント・キャンディー』だ。

 映画における音楽の重要性は、いまさら語るまでもないけれど、『ペパーミント・キャンディー』は、この点でも素晴らしい効果を上げている。
 ミレニアムで沸き立った新年にソウルの映画館で観た時、あまりの感動にしばらく呆然としていたものだが、もうひとつショッキングだったのが、テーマ曲だった、

 この旋律は、人によっては感傷的すぎ、哀しく、暗すぎるかもしれない。
 だが、ここまで作品の内面を映し出して、語ってしまったものは、今の韓国映画でも、そうそうないと思う。
 バイオリンとチェロの素朴なコンチェルトは、時代の闇に消えていった男と女の悲しい叫びのようでもあり、戻らない過去への悲しい旅に、聞くものを誘って行く。

 当時、このテーマ曲は韓国でも結構受け、OSTが発売された(そういうタイプの作品では決してない)のはもちろんのこと、至る所で流用されていた。

 音楽監督を担当したイ・ジェジンはバークレー音楽大学で映画音楽を専攻したというが、彼の紡ぐメロディーは、情緒豊かで感傷的、実に韓国的な感じを受ける。
 正直、ワンパターンな部分もあるし、全て素晴らしい訳ではないが、一度、日本の作品でコラボレをやってもらいたい韓国のクリエイターだ。

 『ペパーミント・キャンディ』は、NHKが出資をした作品にも関わらず、日本ではこっそりと公開されただけで、今でもこの映画を評価する声がさっぱり聞こえて来ない。
 それはとても残念な事なのだが、映画と共に、このテーマ曲もまた、韓国映画史で永遠に輝き続けるだろう。

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Vol.241 シリーズOST名盤紹介 キム・ギドク作品群 [韓国映画音楽(OST)]

 キム・ギドクの作品を最初に観た時、「いいな」と、まず思ったのが、使われている劇中曲だった。

 ピアノやバイオリンを中心としたシンプルだけど力強い旋律がいつも耳に残り、一昔前の韓国映画によくある、「打ち込み系がポンチャクチャク…」とか、「キーボードがビロリロリーン」という印象ではなかったのだ。

 しかし、キム・ギドク映画のOSTが出るたびに購入してみると、どれも「ポンチャクチャク…」「ビロリロリーン」、入っている歌もヒステリックで、正直シンドイものばかり。

 つまり、自分が抱いているキム・ギドク映画の音楽は、勝手な思い込みか、OSTが発売されていない作品群のイメージ、ということなのかもしれない。

 キム・ギドク作品のOSTは、知る限りでは、今まで5枚ほど発売されている(2009年現在 / 特殊なものは除く)。
 この中で、一番最初に出たのは、たぶん『魚と寝る女(섬)』ではないかと思う。

 このOSTは、まだ韓国のCD市場が荒れる前の商品なので、大変凝った作りになっているが、内容は一般のポップス仕様といった感じで、なんだか映画とイメージが違う。

 そんなワケで、どこかが『キム・ギドク初期傑作集』とでもいうべき、アンソロジーOSTを企画してくれないかな、と思っているのだが、韓国のCD市場は状況が悪くなるばかりだし、韓国映画OSTの需要なんて、それこそ伊達や酔狂の矮小な世界だから、どこかの金持ちが趣味の自主制作でもしない限り、望めそうにもない。
 
 そんな恵まれない、そして今後も恵まれることが無さそうな状況の中で、イメージに近い曲がひとつだけ、あるOSTに収録されている。
 『コーストガード(해안선)』収録の「바다(from trailer2)」だ。
 その題名通り、予告篇で使われただけの曲なんだけど、最初に聞いた時からすごくインパクトがあった。
 ようは、この旋律で脳内イメージがフォーマットされてしまっただけかもしれないのだけど、私にとって、キム・ギドク作品の音楽といえば、この感じなのである。

 『鰐』とか『受取人不明』を収録したOSTが出ないかなぁ…

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タグ:韓国映画
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Vol.239 シリーズOST名盤紹介『オールド・ボーイ』モッホヨ!に聞こえるんだけど [韓国映画音楽(OST)]

「뭐요!?」

「얘기를 하고싶다고 했다…」

 突然インパクトあるダイアローグから始まるのは、今もカルト人気絶大な、『オールド・ボーイ』だ。

 公開当時、内容が暗いのなんのと、公開日がどんどん延びてしまった作品だったが、フタを開ければ大ヒット、しかもカンヌ映画祭の正規コンペで韓国史上初の審査員特別賞(次席)というわけで、監督のパク・チャヌクが韓国の三大スーパー監督の一人に、国家のVIPになってしまった映画でもある。
 パク・チャヌクが手がける前に、別の新人監督が映画化を試みていたが一度挫折、彼にバトンが廻ってきたらしい

 原作マンガは、連載当時、日本でも固定人気はあったが、どちらかといえばマイナー作品、映画が生み出した利益を考えれば、韓国側が支払った映画化版権料は破格の安さだったという。

 でも、考えてみればそれも当然だろう。
 この映画の企画が持ち上がった時(撮影する前)、例の「韓流」なんてデマは、日本で影も形もなく、せいぜい「八月のクリスマス」と「シュリ」が、知られていた程度だったろうし、韓国で地下鉄が走っている事さえ知らない人がいた時代だったからだ。

 この作品、日本公開は見事なくらいコケたが、映画好きの間では、最も人気のある韓国映画のひとつかもしれない。
 そういう点では、「韓流」に踊らされなかった作品ともいえそうだ。

 私は当時も今も、そんなに好きな作品ではないし、格段いいとも思わないし、原作の方が全然魅力的だとは思っているのだけど、一貫して思うことは、その音楽性の良さである。

 この映画の熱狂的ファンである知人(韓国人)が「今まで韓国にはなかった映画」として絶賛し、その理由のひとつに、劇中の音楽をあげていたが、それだけは、確かにその通り。

 音楽監督のチョ・ヨンウクは、ずっとパク・チャヌクと組んでいる人物だが、彼の関わったOSTを聞いていると、作曲家というより、プロデューサー的な作品作りの印象を受ける。
 いろんな音楽的要素だとか才能をガバッと集めてきて、その都度、監督と協議して、コラージュしている感じだ。
 一応、クラシックを基盤としているが、よくいえば多様で複雑、悪くいえば雑多で散漫だ。

 そんな訳で、この「オールドボーイ」のOSTもカオスに満ちていながら、徹底したツッコミが足らないし、セリフがたくさん入っているのもイヤなんだけど、その支離滅裂さが逆に、とっても魅力なのであった。

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Vol.234 シリーズOST名盤紹介『殺人の追憶』やっぱり音楽も金字塔でしょ! [韓国映画音楽(OST)]

 日本の作曲家、岩代太郎は、今、映画音楽の分野で、もっとも活躍している一人かもしれない。
 以前からTVやアニメなど、こまごまと沢山の仕事をこなしてきていたが、知名度は知る人ぞ知る、といった感じで、決してメジャーではなかった。

 この『殺人の追憶』は、そんな彼の旋律が、一挙知られるきっかけになった作品のひとつではないだろうか。
 『殺人の追憶』は、韓国映画として日本でも異例ともいえる賞賛を受けた傑作であり、私も色んなところで褒めちぎり過ぎたので、いまさらなにもいうことはないけれど、これからも完成度の高さで、韓国映画のトップにあり続け、後続作品へ影響をあたえ続けるだろうと思う。
 そして、韓国映画における日韓クリエイターによる、最初のコラボ成功例でもあったのではないか。

 聞きかじった話だが、CDが既に売れなくなってきていた当時の韓国でも、この『殺人の追憶』のOSTは売れたというし、それよりもなによりも映画の方向性を大きく支えた、という点で、本当に素晴らしい仕事だった。

 もちろん、この作品の前に、鷺巣詩郎が音楽を手がけた『武士』の前例があったが、『殺人の追憶』ほど効果があったかどうかはちょっと疑問だし、観客動員数では遥かにヒットした『トンマッコルへようこそ』の久石譲の音楽も、作品に及ぼした意味合いにおいては、やはりおよばないと思うのだ。

 監督のポン・ジュノはもともと、菅野よう子に音楽監督のオファーをしたが、彼女の基準にそぐわない内容だったために、『るろうに剣心』劇場版を手がけた岩代太郎に依頼したという。

 後に、『殺人の追憶』を観た菅野よう子は「やっておけばよかったかな」と冗談交じりに語っていたというが、彼女が担当していたら、『殺人の追憶』は、全く印象が異なる映画になっていた気がする。
(※ちなみに、彼女は韓国からのオファーがあまりにも来るので、逆に興味を抱き、韓国語を習得したという話があるくらい、菅野よう子の知名度は韓国で名高い。数年後、『優雅な世界』で韓国映画デビューすることになる)。

 その後、岩代太郎は『六月の日記』で再び韓国映画の仕事を手がけるが、この映画は全く失敗、話題にすらならなかった。
 だが、映画がほぼマーケットで無視された事を考えると、まともなOSTが発売されたこと自体は異例であって、やっぱり『殺人の追憶』での実績があったからこそだろう。

 今でも、『殺人の追憶』の旋律を聞きかえすたびに、哀しい感動が蘇る。
 映画自体が不変の名作であることはいうまでもないが、岩代太郎が果たした「仕事」の素晴らしさもまた、日本人として忘れてはいけない、といつも思うのだった。

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タグ:韓国映画
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