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トゥリバン(두리반)に行ってみた! [韓国の食]

 2014年に韓国で一般公開された、弘益大前系インディーズ・ミュージシャン達の反体制的な抵抗運動を描いたドキュメンタリー『パーティー51』(以下、弘益大前=ホンデと記載)。

 私個人は、ぶっ散らかった支離滅裂な作品にしか思えなかったが、日本では見えづらい韓国の一風景を、良くも悪くもよく捉えたドキュメンタリーとも言えたし、何よりも、インディーズ系ミュージシャンの溜り場だったククス屋を触媒にして、彼らの権力との闘いを描いていたことがユニークな内容ではあった(でも、一番驚いたのが、日本で公開されたこと)。

 今ではすっかり、つまらない定番観光地と化し、かつての「ホンデ・イズム」は既に影薄く、ミーハーな外国人観光客と韓国内上京組ばかりが、おしゃれな場所だと勘違いして来ているような街に成り果ててしまったが、映画公開当時、私はホンデ界隈を、まだまだ待ち合わせによく使っていた。
 なので、ネタとしてありだろうと思い、新生「두리반(以下トゥリバンと表記)」を会合場所に使うことを思いついた次第。

 お店は駅から歩いてすぐ、一等地にあるのだが、繁華街からやや離れた地味な場所にあり、観光ポイントとは程遠い雰囲気、あまり周辺も賑やかではない。

 「トゥリバン」自体は非常に綺麗で近代的な面持ち、かといって来客でぎっしりということはなく、基本、常連が集っている感じである。
 スキンヘッドも半裸もモヒカンもおらず、落ち着いた地味な雰囲気で、『パーティー51』のアナーキーな印象を引きずると、拍抜けするかもしれない。

 例の女性社長以下、お店のスタッフも物腰が上品で物静か、ますます映画のイメージとは対照的な趣を漂わせる。

 また、夜遅くまでダラダラ開いている飲み屋系ではなく、あくまでも料理を食べてもらおう的なスタンス、閉店も早い。

 そういう点では、かつての「ホンデ・イズム」を継承しているお店なのかなぁ、とも思った。

 入店後、知人たちと早速、デフォルトであるカルククスを注文する。

 大なべに人数分だけ盛られた形で提供されるので、日本で言えば、うどんすきに近いかもしれない。

 麺は、まさに「極太うどん」。
 小麦の香りは薄いが、コシはしっかりしていて、スープも悪くない。

 そもそも、「カルククス」と「うどん」は「何がどう違うんだぁ!」という意見もあるだろうけど、私が色々食べた限り、韓国でいう「カルククス」とは、日本で言う「うどん」とは、やはり似ていても異なるものだ。

 恐らく、麺のこね方とか、寝かせる時間が違うからだと想像しているのだけど、「トゥリバン」のカルククスは、韓国の一般的なそれよりも、より「うどん」に近い感じがした。

 冷麺もあったので、こちらも注文してみたが、それほど特筆すべきものではない。
 置いてある酒類は、現在の韓国で標準的に流通しているものばかり、以前、ホンデの飲み屋で時折見かけた地方直送のマイナー酒は置いていない。

 奇をてらっていない分、基本に忠実で真面目なお店、というのが私の感想だが、ちょっと拍子抜けしたのも事実。
 まるで日本のお店のようだ。

 もっとも、そこら辺が韓国的カオスにうんざりした人にとって、悪くないかも…

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Vol.532 機械うどん、B級至高の味 [韓国の食]

 筆者は基本的に韓国の麺料理店に対して否定的なのだが、幾つか少数の例外が存在する。

 その一つがソウル某所に昔から居を構えている、ズバリ「機械うどん」だ。

 「機械うどん」とは、店内で製麺を行ったうどんのことを指し、この店では注文を受けるとその場で製麺を行い、調理にかかる。

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身も蓋もない店名…

 その「店名=調理方法」というストレートさに、最初は「なんじゃ、こりゃ?」と少し驚いた。

 もちろん、店で製麺を行っているお店はここだけではない。
 カロスキルのおしゃれなククス屋で遭遇したこともあるが、そこの「機械で製麺」は空間演出のアクセサリーに過ぎなかった。
 お高い割に味はイマサンで、喜ぶのは観光客ばかり、といった風情だった。

 今回の「機械うどん」は、ソウルの下町にある、すぐにでも取り壊し対象になりそうな古い雑居ビルの一階にあり、製麺機が年季の入ったモノであることから察して、かなり前に開店し、ずるずると「うどんの名店」としての地位を地元で確立してしまったのではないだろうか?

 それゆえ、いつまで生き残れるか非常に不安ではあるが、いつも客で一杯だ。
 値段が相当安いということもあるが、かなり美味しいのである。
 東京で同種・同味のお店があれば、「懐かしきB級グルメ」としてマスコミの紹介必至だろう。

 店内は韓国の古い建物に特徴的な奇妙かつ使いにくい間取りになっていて、混んでいる時は勝手がよくないのだが、回転が早いので少し待っていれば、たいして困ることはないし、その効率の悪さこそ、今の韓国で失われつつある魅力の一つであると思えば、店内の汚さと共に一つの個性として楽しめるはずだ。

 メニューはシンプル。

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これだけ

 看板メニューの「うどん」の場合、薄口の上品なスープに加水率が低いと思われる硬い太麺、しょぼい具が載っているだけというシンプルなものだが、麺の旨さが引き立ち、量もそこそこある。

 だが、筆者一番のお勧めは「チャジャン麺」だ。
 中国料理屋ではないので味付けは一般のものとやや異なる印象(かなりあっさりしている)だが、固めの麺に熱々のチャジャンという組み合わせは非常に美味しい。

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「うどん」の方は撮り忘れました

 韓国の麺料理は年々レベルがあがり、評判のいいお店を探せば、それなりのモノを食べることが出来るようになって来ているが、加水率の低い自家製麺を出す店は少ない。

 「機械うどん」という変な店名も相まって、このお店には、しばらくは現状のままで頑張って欲しいものだ。

 立地場所が微妙なところもいい。
 江北、江南方面からは行きにくい場所にあるが、時間をかけて食べにゆく価値のある名店といえよう。

 さぁて、また食べにゆこっと!!

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素敵な製麺機…



Vol.530 またこいや [韓国の食]

 ソウル・乙支路某所にある『又来屋(우래옥)』は昔から冷麺の名店として知られている。

 現在ある店舗は何年か前に新築、移転した建物で、昔はもっと建物群に埋もれた裏路地にあった(場所が分かりにくいには今も同じだが)。

 筆者が初めてここを訪れたのはもう、20年も前のことだ。

 当然、この店が掲げる冷麺屋としてのステイタスなど知るはずもなく、同行した知人のアドバイスに従ってビビン冷麺を食べたが、年配の日本人団体客が居て、ひたすら下品に「骨付きカルビ!、骨付きカルビ!」と騒いでいたことばかりが印象に残っている。

 ここ数年、冷麺食べ歩きが楽しみの一つになった筆者は、どんな味だったか思い出そうと、在韓日本人の知人を誘って、久しぶりに又来屋を訪れた。

 当然のことながら、以前とは全く違う装いになっている。
 だが、よくあるへなちょこな韓国現代建築ではなく、昔の雰囲気が漂う懐かしい様式の低層ビルだ。

 中はまるでホテルのロビー、コーヒーカウンターがあったりして、座席が空くのを待っている家族連れが大勢いる。
 皆、それなりに裕福そうだ。
 多分、中流以上の人たちが多いのかもしれない。

 内装は豪華で、ちょっと独特だ。
 昔の韓国でよく見かけたようなインテリア・デザインになっていて、日本でいえば40年以上前に都市部で見かけたような懐かしさが漂う。

 係の案内に従って席につく。
 従業員教育は徹底しているようで、これまた、お高いホテルの如く。
 料理の値段は当然高く、どちらかといえば特別な日に来るような店であり、観光客が酔ってくだ巻くような大衆店ではない。
 だが、その韓国的というか、「朝鮮的ツンデレさ」が逆によかったりする。
 ソウル市庁近くにある平壌式冷麺を出す某有名店が、デレデレに外国人観光客向けの店として特化していることと対称的だ。
 『又来屋』の「朝鮮的ツンデレさ」とは、創始者&経営者側のこだわりなんだろう。

 高級店にかかわらず、前払い制なのは意表を突かれるが、客の回転を考えた上でのことかもしれない。
 周りを見渡すと日曜ということもあるのだろうけど、プルコギを注文している客が目立つ。
 筆者はプルコギ嫌いなので進んで食べることはまずないけど、ここだったら一度食べてもいいかな、などと考える。

 注文後しばらくして、冷麺(ムルネンミョン)が運ばれてきた。
 量が結構あるから値段相応かな?

 麺はおとなしい感じで特に際立った感じはないが、日本人には馴染みやすい味、スープも上品でくどくない。
 ただ、温麺で食べた方が、ここの麺玉は旨味が活きそうな気もする。

 日本で韓国の温麺はポピュラーではないが、上品な「とんこつラーメン」といった気がしないでもなく、個人的にはおすすめだ。

 今回、気になったのは冷麺に載った白菜の漬物である。
 おそらくキムチの一種なのかもしれないが、これが非常に不味い。
 千切りになっているので食感が悪くなっていることもあるが、麺とスープに全然あっていない。

 この「又来屋」に来ることは当分ないとは思うけど、ソウルで平壤式冷麺食べるなら、筆者はやっぱり「乙支路麺屋」の方かな?

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これも写真を忘れました…

Vol.529 伝統食が消えてゆく [韓国の食]

 筆者は韓国の食品流通事情がよく分からないが、ソウルその他のマーケットやら農協やらをぶらついている経験から考えてみると、ここ十五年位の間に様相が大分変わったのではないだろうか。

 「だいぶ変わった」というのは、生産者から流通に乗って消費者に届くまでの仕組みが、昔よりも「上からの力」で一本化、均一されているのではないか、ということである。

 そう思う理由として、お店に並ぶ品物が大手企業系列のものばかりになり、地方で細々と生産されているようなマニアックな名品が目に見えて減ったことがある。

 もちろん単に売れないから中央に出てこなくなったのかもしれないし、毎度おなじみ、財閥大手による中小・零細生産者の駆逐が進んだのかもしれないが、特に食材の分野でこの全国均一化がやたら進み、韓国での買い物がやけにつまらなくなってきている。

 かつて巷のコンビニであっても、そこがフランチャイズでなければ、訳の分からない製品が細かく並び、個人経営の食料品店などでは、独自ルートで仕入れたと思われる地方企業の製品が置いてあることは珍しくなく、「日本にない」という点では非常に面白いものがあったが、今の韓国、特にソウルでは、そういうものは壊滅状態になった。

 地焼酎や地酒、地テンジャンや地コチュジャンなども、十年くらい前までなら、そこそこ手に入ったが、今では、どんどん「幻」になっている。

 筆者が好きな銘柄のテンジャンは既に入手が困難になり、生産地の通販サイトで探しても見当たらなくなった。
 そういった特別なものでなくても、以前は楽しみの一つだった風味豊かな独特の清涼飲料やジュース類も、ほとんど店頭で見かけなくなった。
 だが、それらは特別な製品ではないのだ。

 結局、一般のお店で入手できるものは日本で入手できる「韓国食品」と対して変わらなくなってしまった気がするのである。

 色々な分野で自文化の「国際化」と「優位性」、「多様化」を標榜し続ける韓国ではあるけれど、伝統的な食文化は、つまらないモノクローム化がどんどん進んでいるように思える。

 対外的に、臭いキムチやら、食べ方が汚いビビンパブやら、TVドラマに合わせて創作されたような怪しい宮廷料理を無理やりアピールするよりも、昔ながらの朴訥なもの、一般家庭で普通に食べているものを大切にして、維持してゆく方が今の韓国の食では、より必要なのではないか。

 そして外国人たちが、それらに対して独自に価値を見出してゆくことこそ、韓国食の普遍化、第一歩だと思うのだが…

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数年前、ソウル某所で購入したテンジャン。
今だ使用中ですが、熟成して美味しくなっています。


Vol.528 ふにゃふにゃだけど [韓国の食]

 地下鉄三号線『狎鴎亭』駅から地上に出てすぐ、やや裏の通りの雑居ビル二階に「안동국시」はある。

 「안동국시」とは「慶尚南道・安東地方周辺式の국수」という意味だが、そのまま店名になっている。

 ソウルで「안동국시」の類いを出すお店は意外と少ないのだが(というか、続かない)、狎鴎亭にあるこの店は、もしかしたら、ソウルにおける草分けなのかもしれない。

 お店が開店したのはかなり前の事で、老舗の部類に入るから、食堂の廃り流行りが凄まじいソウルで、しかも狎鴎亭の一等地で定着しているということは、隠れた人気店なんだろう。

 국수がメイン料理なので店のメニューはシンプルだが、수육や전、만두の類も置いてある。
 他の人の注文を見ていると、「국수+その他」の組み合わせを注文していることも多いが、국수単品でも量が結構あるので、一人の時は注意である。

 국수には温麺と冷麺二種類あるが、レシピ的にはおそらく大きな違いはない。
 スープは牛骨ベースの薄い醤油味の澄んだもので、あっさりしているがコクがある。
 冷麺のスープから동치미を抜いたような味でもあるが、冷やしたものも十分美味しい。

 この店の特徴は、おそらく麺そのものにある。
 きしめんに似た形状だが幅は狭く厚みもなく、ワンタンの皮を細切りにしたような麺で味もそれに近い。
 そのためか、かなりプヨプヨの柔らかい状態で出てくるのだが、これが予想外にいけたりする。
 煮溶ける寸前といった感じだが、スープと良く絡んでいるのだ。
 生麺を使っているが、乾麺だとこの食感と味わいは出ないかもしれない。

 値段は昔からやや高めだが、それは仕方ないだろう。
 場所の問題もあるだろうけど、麺もスープもちゃんとしたものを提供し続けているからだ。

 日本におけるラーメンや素麺とはちょっと異なる麺料理だが、博多うどんなどにコンセプトが近いかもしれない。

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写真撮るの忘れました…

Vol.524 サムゲタン考 [韓国の食]

 日本でポピュラーになった韓国料理に参鶏湯(サムゲタン)がある。
 昔から知っている人は知っていた料理ではあるが、「キムチ、焼き肉、参鶏湯」と並んで日本で語られるようになったのは割りと最近のことなのではないだろうか?

 日本のネットでこの参鶏湯についての評価を調べて見ると「美味しい!最高!大好き!」という意見と、「激まず!ゴミ!臭くて食えたもんじゃない!」という風に賛否両論真っ二つに分かれているようだ。

 日本でも韓国の焼酎モドキを絶賛する人がいるくらいだから、参鶏湯を好きな人がいるのはなんらおかしくないし、嗜好は個人の自由だから別にいいのだけど、これが二十年前ならどういう評価になっていたのだろうか?
 たぶん、こんなにウケていなかったと思う。

 そして、この参鶏湯が一部日本人の間で酷評されている裏側には、「日本で韓国の定番料理が認知される度合い」と「韓国において定番料理の質が低下している度合い」が、比例しながら進行している事情が隠れているような気がする。

 つまり、韓国における韓国料理の味が一般的に低下した頃に、韓流という疫病が流行り、日本人の間で韓国料理が広まってしまったことが、韓国料理を必要以上に「不味い」と主張させる原因になってしまっているのではないだろうか?

 ちなみに筆者は参鶏湯が嫌いだ。
 現地で誘われても「え~!参鶏湯?」と態度に出してしまうし、食堂でも嫌な顔をして食べたりしている。
 だが、美味しいかどうかを問われたら、「美味しい」と答えるだろう。

 実際問題、専門店で出される参鶏湯のスープは大抵美味しい。
 おそらく日本で嫌がられる原因の一つは薬臭いことだが、そういう料理は何も参鶏湯だけではないし、カレーなんかは最たるものだ。
 では、筆者の場合、何が嫌いかといえば、その見た目のグロさである。

 切断面をさらした鶏が一羽(もしくは半羽)が器の中にゴロン、と丸ゆでになって転がっているルックスが生理的に受け付けないし、それをぐちゃぐちゃに崩す食べ方が、よりハード・ゴア過ぎてダメ。
 道路で車に轢かれ続けて、原型がなんだかわからなくなっている犬や猫の死骸を思い出してしまう。

 私が参鶏湯を韓国で初めて食べたのは軍事政権の末期、景福宮駅近くにある「土俗村」だった。
 ここは当時からそれなりに名店ではあったが、今のように人々がやたらと押しかけて行列するようなお店ではなく、もっと地味で冴えない店だった。
 当然、メニューは全てハングル表記、日本語対応も一切なし(というか、日本人自体いなかった)。

 昔も烏骨鶏の参鶏湯が名物だったが、その時の目的は漆の参鶏湯だ。
 この漆の参鶏湯、今では希少メニューになっているらしいが、当時でも、そんなにポピュラーではなかったと思う。

 注文時、「かぶれるかもしれませんよ」とお店の人に注意を受けたが、食べて見ると拍子抜けするほど癖のないあっさり味、美味しくも不味くもなくで、肩すかしだった。
 もちろん、かぶれたりはしない。

 「漆って本当に食べることが出来るんだ~」と感心はしたものの、人様の家庭で出てくる普通の鶏スープの方が遥かに美味しかったので、「韓国の外食って、イマイチだなぁ」という印象を刷り込まれた。
 値段はW8000-くらい、今では考えられないくらい安かった(でも当時の韓国の相場だと通常の倍)。

 最後に韓国で参鶏湯を食べたのは、もう十年前くらいになる。
 知り合い夫婦に誘われて行った、新林駅の十字路近くにあるお店である。
 結構古い地元の定番店だったが、味は至って普通で、絵に描いたような平凡な参鶏湯だった。
 不味くはないが、何か+αに欠けていて物足りないのである。
 知人夫婦が器の中で鶏を上手にグチャグチャにしているのを眺めながら、私はあまり崩さないようにして食べた。

 一番美味しいかった記憶のある参鶏湯は、忠武路の古いビル、半地下に居を構えたお店だった。
 老夫婦が経営する街場の食堂で、味は非常に良く、鮮烈さすら感じるシャープな風味の参鶏湯だった。

 材料とスープの煮込み具合が適度で、具材の個性がちゃんと感じられるのだ。
 食材が良かったのかもしれない。

 場所が場所なので、今ならグルメ・ガイドに載るべき味だったとは思うけど、残念ながら十年以上前に姿を消してしまった。

 …とまあ、それなりに彼の国との付き合いは長くても、今も昔も焼き肉と参鶏湯は興味が無いので、これらについて食べた記憶があまり無い。
 物価高が日本を越えてしまった今、なおさら、これらの「定番料理」を食べる機会は無さそうだ。

 でも、久しぶりに「土俗村」へ行ってみようかな??

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Vol.520 ラーメン大作戦 [韓国の食]

 ここ数年、韓国は物価がどんどん高くなっていて、割安感というものがほとんど無くなってしまった。

 ソウルだと東京辺りと大差なくなっていて、質の面を考えれば日本の方が遥かにお得感覚が強くなっている。

 地下鉄やバスがまだ安いのは救われるにしても、昔より交通カード再チャージの頻度が高まったのはいうまでもないし、効率やらサービスを考えると日本のそれに及ばないから、相対的にこちらもかなりパフォーマンスが悪くなっている。

 それではソウルに来て、何が節約できるだろうか?

 元々、筆者は無駄な買い物を韓国ではしない主義だから、最も節約可能な項目と言えば【メシ代】ということになる。

 以前書いたように、筆者は宿近所のマーケットで食材をまとめ買いし、それを毎日調理することで、交際費だとか交通費なんかに回せるお金をW1でも捻出するように努力している。

 今回は、よりケチるべく、食事の基本を袋麺(袋入りインスタントラーメン)で攻めて見ることにした。

 なぜなら、カップ麺よりもコストの面で優れているし、ゴミも少なくて済むからだ。

 ただ、今の韓国、袋麺も決して安くなく、セット買いしても日本で買うのとあまり変わらなかったりする。

 その上、不味い製品が多い(辛ラーメンなんてその代表だろう)ので、大して節約のメリットが感じられなかったりはするのだけど、炭水化物と水分を同時に摂取できるので、忙しい朝は結構合理的で重宝したりする。

 ただし、塩分や脂分を考えると明らかに体に悪いので、袋麺は一日一食とし、そこにおなじみのチョンガクキムチを付け加え、後はバナナで栄養を補う献立を一週間通して見た。

 【調理方法】

 宿で袋麺、といっても調理方法は至って簡単だ。 
 日本のダイソーで買い求めた電子レンジ用ラーメン調理器を使うだけである(ちなみに韓国のダイソーに置いてあるかどうかは未確認)。

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調理器…

 筆者は日頃、この手の料理を食さないので、「本当にこれでラーメンが出来るのかよ」と半信半疑だったが、仕上がりは全く問題なく、韓国製袋麺の場合は、よほどこの調理器で作った方がいいのでは?と思ったくらいである。

 韓国の袋麺はある程度、グダグダに煮込むことを想定しているようなので、調理時間を1~2分長めにしてやることで、程よい仕上がりとなる。

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見た目はキモワルでも味はいいです…

 ちなみに、キムチも一緒に煮込んでしまった方が味が馴染んで美味しいと思う。
 使うキムチも、やはりチョンガクキムチが一番合う。
 ペチュキムチなどの葉モノ系は酸味が強くて、ラーメンの味が負けがちになる。
 まあ、個人の好みではあるが…

【食べた袋麺について】

 今の韓国、国内向け袋麺も独自に発達を続けていて、機能性を持たせたり、高級志向の製品が増えている。
 その中でもスーパーで普通に入手出来、日本であまり紹介されていないものを中心に幾つか選んでみた。

 今回食べた中だと、の「꽃게짬뽕(풀무원)」と「맛있는 라면(삼양식품)」がおすすめだ。
 「통영굴짬뽕」も悪くないが、「꽃게짬뽕」よりちょっと風味が落ちる。
 もっと、牡蠣臭くてもいいと思うのだが…

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 これらの製品はスープ、麺、かやくともワンランク上の味で、偏見を抜きに、日本でもそれなりの評価を受けそうな味の袋麺だ。
 まさか、自分が韓国製袋麺を美味しいと思うなんて、驚いたくらいである。

 結論から言えば、大人ならこの献立一日一食程度で十分な量だ。
 逆に小食になるので、連日、屋台料理やカルビ、サムギョプサル、サムゲタンなどを食い歩き、韓国製の焼酎やマッコルリを多量に飲むよりも、遥かに健康的で快適な生活が送れるのでは?(もちろん、韓国で暮らす場合はちゃんとした食事を摂りましょう)

Vol.517 ケジャン考 [韓国の食]

 ケジャンを食べなくなって久しい。
 稀に食堂の突き出しで食べるくらいだ。
 かつて、ケジャンといえば韓国料理独自の珍味、美味の代表格として日本では語られることが多かったが、最近、どうも影が薄い。
 でも、それは韓国でもそうなのではないか。

 かなり前に、方背洞へケジャンを食べにいったことがあった。
 ここら辺界隈は、ケジャン専門店が集まっていることで有名な場所だったが、当時からすでに、えらく廃れていたことには驚かされた。
 同行した知人曰く「最近の若い人は食べませんからね。それに価格が高いから、経済状況がよくないとみんな行かなくなるんじゃないでしょうか」
 今から十年以上前のことだ。
 ただし、専門店らしく(店員はおばちゃん一人だが)、非常に美味しかった。

 かにみそと卵を白飯に混ぜるといくらでも食べることができ、「こりゃあ、ヤバイ」と感じる味だった。
 あんまり美味しいので、次の日の昼間にも車で来てしまったくらい(駅から遠い)である。

 日本では、一般的に新沙洞の某専門店が昔から有名らしいが、筆者は一度も訪れたことはない。
 値段が高すぎるし、韓国の友人たちからも、食べに行こうなんて提案はまずなかったからだ。
 独りで食べに行くようなお店でもないから、なおさらである。

 今では日本でも常識に近いが、ケジャンは大きく分けて二種類ある。
 一つはコチジャン系薬味に漬けたもの、もう一つはカンジャン系薬味に漬けたものだ。
 個人的には後者の方が圧倒的に好きである。

 蟹もおおまかに二種類あって、一般的なのはワタリガニを使ったものだが、小型のイシガニを使った方が本来のケジャンに該当する、という話もある。
 実際、こだわりのお店だと、イシガニを使った方が出されることがある。

 ただ、このイシガニは本当に食べる部分がないので、やっぱりワタリガニの方が美味しい。
 カワガニを使う場合もあるらしいが、材料が希少なので食べたことはない。

 そういうわけで、「久しぶりに食べたいな~」とは、いつも思うのだけど、いつも行く機会がないし、暖かくなる季節は危ないから、なおさらだ。

 これはケジャンに限らず、ユクフェにしてもポッサムにしても屋台料理よろずにしても、気候が暖かくなると、一挙に食中毒の危険度が増すからである。

 だから、春から夏にかけての韓国は、野菜以外、本当に食べるものがないなぁ、といつも、しみじみ思うのであった…
(極私的ケジャンの美味しい食べ方)
 次に紹介する方法は危険と隣り合わせなので、お試しされる場合は自己責任で行なって下さい。

 そして、11月~2月以外の気温が上がる季節は試されないことをお勧めします。

 かつて、ソウルの某有名店では死者が出たという話も聞きますので、ケジャンによる食中毒を甘く見ないことをお薦めします。

1.高級デパートなど、衛生面がまともな場所で、肉厚のカンジャンケジャンを購入します(=ワタリガニを使ったもの)。
その際、漬け込み用のカンジャンを多めに入れてもらいましょう。

2.日本に持ち帰ったならば、封を切らないでそのまま、冷蔵庫の下や、奥の方にしまいます(=出来るだけ温度の低い位置)。
パーシャル・ルームがあればその中に(でも、凍らないように注意)。

3.一週間から十日ほど放置します。

4.冷蔵庫から取り出し、お皿に開ます。
カニの身がトロトロに溶けてカンジャンと混ざり合い、大変美味になっています(若干アンモニア臭あり)。

筆者は放置十日までしか試していないのでどこまでOKレベルか、分かりませんが、パーシャル・ルームだともう少し置けるかもしれません。

この食べ方は危険ですが、そもそもケジャンというものは、冷蔵庫の無い時代にカニを保存する手段の一つでもあったわけで、意外と持つものです。
もちろん、プリプリ系が好きな人はすぐ食べた方がいいでしょう。
コチュジャンに漬けたタイプでも応用出来ます。

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紅ズワイガニのケジャン
こういう豪快なのもあるらしい

Vol.511 平壌冷麺の味 [韓国の食]

 久しぶりに冷麺を食す。

 なぜかと言えば、最近の韓国では値上がりが激しく、足が遠のいていたからである。

 日本のラーメンと同じで、真面目に作っているお店ほどコストパフォーマンスが悪いらしい。
 今ではメニューにW10000-と表示されていても驚かなくなった(東京の有名なラーメン屋とほぼ同じである)。

 セントラルキッチン方式で作っているチェーン店で食べれば安く上がるが、そんな代物をソウルで食べても意味はない。
 そういうお店は、麺がそこそこいけても、スープの味は別物と言っていいくらい、レベルが低い。

 そこは新沙駅から割りと近くにある有名店で、この頃では日本の観光サイトでも紹介されている。
 ソウルでは少数派の真面目な平壌式冷麺を出すお店だったので、知人と昼食を食べに行く。

 地元のランドマークとして有名な某病院裏にあるのだが、ここら辺一帯は江南地区の中でも再開発が遅れている場所で、家賃も若干安く、以前から映画関係者の事務所がたくさんある。
 昔ながら風情の食堂も幾つかあって(でも江南価格)、結構穴場かもしれない。

 新沙洞付近でグルメと言えば、いちげんさんの日本人観光客はカロスキルや某ケジャン屋方面に流れるためか、それらしき団体は今回、全く見かけなかった。

 その店は外観も中身も決して綺麗ではないが、こういう貧相な方がソウルの冷麺屋に関しては美味しいお店が多い。
 従業員がやたらいるので、時間帯によって、かなり混むと見た。

 出される冷麺は、ごく普通の風体だが、化学調味料を使わず、あっさりした味が特徴だという。
 さっそく、スープを一口すすってみれば酸味は弱く、トンチミの風味は控えめだが、その代わり、豚骨系の上品な味が濃厚に漂う。

 麺は日本の冷やし中華系太麺で、筆者が好むパリパリ系細麺ではないが、日本人にとっては親しみやすい触感だと思う。

 しかし、全体的に観るとボテッとしていてキレがなく、大味なのは否めない。
 スープが繊細でも、麺玉その他が雑なので、バランスが取れていないのである。
 量もかなり多く、もう少し麺を減らしてもいいのではないかと思った。

 だが今回ひいたのは、肝心の冷麺についてではなく、一緒に赴いた知人女性の行動だった。
 真っ昼間なのに「ビール飲まない?」と、店に入るや否や言い出したのである。

 筆者は日が出ているうちはアルコールを飲まない主義だが、その時は油断して、ご相伴にあずかったのが、大きな間違いだった。
 調子こいて二人で瓶ビールを三本開けたのはいいが、途端に疲れがどっと出て来た。
 「しまった…」
 大した酔いではないにしろ、この後、退屈なインディーズ映画を観なくてはならない。

 だが、彼女の方は会社に戻って、夜中まで激務である。
 以前は昼に堂々と酒を飲むようなことなど一切なく、それほど強い方でもなかったはずなのだけど…おい、おい??

 でも、考えてみれば、彼女に限らず、お酒に溺れかけているような若い女性を韓国でも見かけることが多くなった気がする。

 お昼にビールをちょっと程度なら目くじら立てることはないけど、前日に深酒してヘロヘロ状態で夕方に出社して来たり、朝まで飲んでいて、二日酔いフラフラで待ち合わせ場所に現れたりする。

 それは彼女たちが韓国男子と肩を並べ、第一線で働いているという事なのかもしれないけど、付き合いが長い女性だったりすると、その変貌ぶりには戸惑いも感じてしまう。

 どこでも生きることは辛いよなぁ、などと改めて痛感しつつ、その日の冷麺は複雑な後味を残すのだった…

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Vol.505 中国式冷麺(중국식 냉면)の味 [韓国の食]

 ここ十年ばかり、ソウルでは本式を謳う中国料理屋がかなり増えた。

 元々、韓国でも中国料理はごく身近にあるお馴染みの存在だったが、基本的には「韓国式中国料理」であり、メニューは限られ、味も韓国人の味覚に特化していた。
 より本場に近い味であることや、お店の雰囲気であることを表に堂々と出すようになったのは、割りと最近の話である。
 
 以前は、永登浦辺りのディープな中国人街にでも行かないと食べることが出来なかったような料理を、ソウルの普通の繁華街でも食べることが出来るようになり、訪れる客も、ごく普通の韓国人ばかりになった。

 そうした「本格中国料理の一般化、韓国社会への浸透化」の中で目立つようになったメニューの一つに、「中国式冷麺」と称されるものがある。
 なんのことはない、いわゆる「冷やし中華」なのだが、このメニューが堂々と貼られるようになったのも、これまた最近の事である。
 かつては「中国式冷麺」といっても、「ソウルにおける平壌式冷麺」と大して変わりはなく、わざわざ区別する必要がなかったのではないだろうか。

 この「中国式冷麺」、筆者的には韓国の地元料理として邪道だと思っていたので、それまで食べたことはなかったのだが、たまたま立ち寄った中国料理店にそれが掲げられていたので、注文してみることにした。

 そのお店は光化門駅の近くにあり、韓国における中国料理屋の定石通り、ビルの二階にある。
 だが、他と違うのは、お店に場末感がなく、どうやら麺料理をウリにしているらしいことである。
 だから、お店の前を通りかかるたびに、気になっていたのだ。

 中に入れば、きちんとした専門店、雰囲気も日本のそれに近い。
 やさぐれたサラリーマンや年配客ばかりかと思いきや、そうでない一般客が沢山入っていて、人気店なのかもしれない。
 メニューを観ると確かに麺料理の種類が他のお店よりも多い。

 やがて運ばれてきた「中国式冷麺」は、当然だが、日本の冷やし中華とは異なっている。
 日本でまともな冷やし中華を頼むと、外観も味も洗練された品が出てくるが、ここは大味かつ、盛り付けからして野暮である。
 だが、その野暮さは明らかに韓国的な野暮さではなく、大林洞辺りの中国人街でよく見かけた野暮さなので、どうやら華僑系のお店のようだ。

 味の方は悪くなく、酸味がやや強い点を除けば、ソウル某所の平壌式冷麺なんかとそれほど変わりはない。
 スープは半ば凍っているが、これもまた、韓国の冷麺屋で見られる手法である。

 麺は太く腰があり、適度に固くて美味しい。
 麺料理を前面に出しているだけのことはある、といった感じの味だ。

 では、何が他の冷麺と違うのか、と問われてみれば、上に載った具材だろう。
 刻みキュウリのみならず、くらげにイカとエビ、はたまた干し海鼠まで載っているのである。

 半ば凍ったような麺料理の上にこれらの具材が載っていても、その風味が活かせるとは思えないのだが、その「なげやり感」には、決して日本の中華料理にはない大胆さが感じられ、チャジャンメミョンやチャンポンに代表される、「韓国人による韓国人のための中国料理」には見られない個性があった。

 価格はそれなりなので、頻繁に食べにくることはまずないだろうけど、時間とお金に余裕があれば、たまにはこようかな、と思わせてくれるお店であった。

中国式冷麺.2JPG.JPG

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