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Vol.518 宿の追憶 [韓国生活]

 筆者はソウルに行く時、基本的に定宿に泊まるようにしている。

 しかし、「定宿」といっても何か特別契約をしているわけではないから、他の人たちと部屋取り競争をやらなくてはいけない。

 これが結構シンドくて一番嫌なワケだが、宿のスタッフが顔を覚えてくれれば、ある程度、こちらを考慮してくれるようになるので仕方ない。

 また、場所や値段など、筆者の要望に沿った宿は本当に少ないので、そういった場所を見つけたら、経営者が変わるようなことが無い限り、使い続けることになる。

 今使っている宿は設備こそ大したことはないが、価格が安い上、外国人向けに特化していて、困った時など色々頼りになるし、なによりも場所がいい。

 バスと地下鉄両方共、ルートの選択肢が多く、主要な場所までほとんど一本で行くことができ、特に恵化から徒歩で20分程度なので、大学路で飲んだ時は終電を一切気にしなくていいし、演劇を観覧する際も便利である。

 その他にも、ソウル中に散らばった主要なアート系映画館へのアクセスについて便利性が極めて高い。

 筆者が最初定宿に使っていたのは、筆洞にある中級の、昔は映画関係者御用達で有名なホテルだった。

 サービスもよく、値段も安く、外国人対応と、ソウルの安い宿泊施設の中では非常に気に入っていたのだが、ワールドカップを境に物凄い値上がりした上(もちろん大改装もやった)、それまでお世話になっていたスタッフの多くが解雇されてしまったので使うのを止めた。

 次の定宿に使っていたのは、舎堂駅近くにある古ぼけたホテルだ。

 どうやら、ある一家が物件を買い取って経営していたらしく、フロントにいるのは、いつもおばちゃんやおじいさんだった。

 そこは外国語が全く通じないホテルではあったが、あんまり筆者が頻繁に泊まるので、フロントに顔を出せば、ツーカーで分かってくれるようになり、一度火事になり焼け出されたが、良くも悪くも家族的だったので、その後も舎堂に用事がなくなるまで使い続けた。
 あの一家は今もフロントにいるのだろうか。

 その次は新林駅近くにあるモーテルだった。

 基本的にはラブホだが、そこだけはビジネスホテルの色合いが強くて、当時のソウルでは希少なタイプの宿だった。
 値段は安いが設備がよく、部屋も綺麗だった。
 かなり分かりにくい場所にあったが、モーテルが乱立する新林駅界隈でも人気があったようで、週末は満室になることが多かった。

 その後、三成洞にあるモーテルに宿を変えたが、なぜかというと江南界隈での用事が増えたためである。

 当然、狎鴎亭辺りの宿なんか高すぎて使えないので、微妙な場所にある、そこそこ安いモーテルを探して使うようになった。

 個人的にはそこを気に入っていたが、経営者が地下にあるサロンに力を入れ始めたらしく、改装後えらくサービスが悪くなり、泊まるのをやめてしまった。

 幽霊が出たのは、このモーテルのことである。

 そんなこんなと、いくつかの遍歴を経て、今の宿に落ち着いたワケだが、貧乏ツーリスト向けの安宿は、どうしても安かろう悪かろうで、やはりアタリは少ないように思う。

 韓国の物価上昇が著しい今、ビジネス向けに特化した安い宿泊施設が、ソウルで、もっと増えて欲しいことは変わらない。
 個人的にはレジデンス形式の宿が理想的だが、どこも高すぎるし、安いところは予約競争が激しい上、設備がひどかったりする。

 一度、上げ膳据え膳の高級ホテルに泊まってみたいとは常々思ってはいるけど、安いホテルとの差額で出来ることを考えれば、とてもではないが、韓国で一泊W100000-相当を超えるようなところに泊まる気にはなれない。

 もっとも、そんな予算はいつもないというのが一番の理由だけども…

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ああ、舎堂

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Vol.517 ケジャン考 [韓国の食]

 ケジャンを食べなくなって久しい。
 稀に食堂の突き出しで食べるくらいだ。
 かつて、ケジャンといえば韓国料理独自の珍味、美味の代表格として日本では語られることが多かったが、最近、どうも影が薄い。
 でも、それは韓国でもそうなのではないか。

 かなり前に、方背洞へケジャンを食べにいったことがあった。
 ここら辺界隈は、ケジャン専門店が集まっていることで有名な場所だったが、当時からすでに、えらく廃れていたことには驚かされた。
 同行した知人曰く「最近の若い人は食べませんからね。それに価格が高いから、経済状況がよくないとみんな行かなくなるんじゃないでしょうか」
 今から十年以上前のことだ。
 ただし、専門店らしく(店員はおばちゃん一人だが)、非常に美味しかった。

 かにみそと卵を白飯に混ぜるといくらでも食べることができ、「こりゃあ、ヤバイ」と感じる味だった。
 あんまり美味しいので、次の日の昼間にも車で来てしまったくらい(駅から遠い)である。

 日本では、一般的に新沙洞の某専門店が昔から有名らしいが、筆者は一度も訪れたことはない。
 値段が高すぎるし、韓国の友人たちからも、食べに行こうなんて提案はまずなかったからだ。
 独りで食べに行くようなお店でもないから、なおさらである。

 今では日本でも常識に近いが、ケジャンは大きく分けて二種類ある。
 一つはコチジャン系薬味に漬けたもの、もう一つはカンジャン系薬味に漬けたものだ。
 個人的には後者の方が圧倒的に好きである。

 蟹もおおまかに二種類あって、一般的なのはワタリガニを使ったものだが、小型のイシガニを使った方が本来のケジャンに該当する、という話もある。
 実際、こだわりのお店だと、イシガニを使った方が出されることがある。

 ただ、このイシガニは本当に食べる部分がないので、やっぱりワタリガニの方が美味しい。
 カワガニを使う場合もあるらしいが、材料が希少なので食べたことはない。

 そういうわけで、「久しぶりに食べたいな~」とは、いつも思うのだけど、いつも行く機会がないし、暖かくなる季節は危ないから、なおさらだ。

 これはケジャンに限らず、ユクフェにしてもポッサムにしても屋台料理よろずにしても、気候が暖かくなると、一挙に食中毒の危険度が増すからである。

 だから、春から夏にかけての韓国は、野菜以外、本当に食べるものがないなぁ、といつも、しみじみ思うのであった…
(極私的ケジャンの美味しい食べ方)
 次に紹介する方法は危険と隣り合わせなので、お試しされる場合は自己責任で行なって下さい。

 そして、11月~2月以外の気温が上がる季節は試されないことをお勧めします。

 かつて、ソウルの某有名店では死者が出たという話も聞きますので、ケジャンによる食中毒を甘く見ないことをお薦めします。

1.高級デパートなど、衛生面がまともな場所で、肉厚のカンジャンケジャンを購入します(=ワタリガニを使ったもの)。
その際、漬け込み用のカンジャンを多めに入れてもらいましょう。

2.日本に持ち帰ったならば、封を切らないでそのまま、冷蔵庫の下や、奥の方にしまいます(=出来るだけ温度の低い位置)。
パーシャル・ルームがあればその中に(でも、凍らないように注意)。

3.一週間から十日ほど放置します。

4.冷蔵庫から取り出し、お皿に開ます。
カニの身がトロトロに溶けてカンジャンと混ざり合い、大変美味になっています(若干アンモニア臭あり)。

筆者は放置十日までしか試していないのでどこまでOKレベルか、分かりませんが、パーシャル・ルームだともう少し置けるかもしれません。

この食べ方は危険ですが、そもそもケジャンというものは、冷蔵庫の無い時代にカニを保存する手段の一つでもあったわけで、意外と持つものです。
もちろん、プリプリ系が好きな人はすぐ食べた方がいいでしょう。
コチュジャンに漬けたタイプでも応用出来ます。

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紅ズワイガニのケジャン
こういう豪快なのもあるらしい

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Vol.516 くるりと上着を翻し [韓国カルチャー]

 昨年(2014年)、しばらく日本のマスコミで取り上げられていた「ハルビン・安重根記念館騒動」を覚えている方は多いと思う。

 だが、「安重根」に限らず、韓国では義士だとか烈士、殉士という称号の英雄たちが沢山いて、その数は増えるばかりだ。
 英雄たちを賞賛する市井の人々の多くが、「史実がどうたらこうたら」ということよりも、付随して語られる「感動の物語」の方に、自己陶酔しているだけなのでは?と感じてしまうことがよくある。

 日本で言えば、戦国武将や幕末の志士に憧れを託す様子に近いかもしれない。

 ある韓国の知人はネットに反日ネタをアップし、他の反日ネタには「いいね!」を連発、光復節になれば感涙を流して、抗日烈士を讃え、日本は大嫌いと言いつつ、日本人は友達とも語り、日本文化や日本人女性に対して並々ならぬ興味を持っていたりする。

 そんな矛盾だらけの彼の言動を見ていると、韓国英雄群像の筆頭に立つ「安重根」とは、韓国的混沌の暗喩なのかもしれないとも思うのだった。

 ところで、かなり前のことだが、ソウルで「安重根」を絶賛する韓国人ならぬ日本人と会ったことがある。

 戦中派の方らしく、現在は地方で農業を営んでいるという。
 韓国は観光でよく訪れるようで、彼の地の素晴らしさを誇らしげに筆者に話した後、安重根義士記念館を訪れて感動したことを強く主張し始めた。

 「あなたたち戦後生まれには、この私の気持は分からないでしょう?」

 この言葉のしつこい繰り返しにはうんざりさせられたが、「なぜ、安重根は偉大なのか」という肝心の説明は一切なく、ただ、ただ、賞賛が続くばかり。
 そこに、この人が幼い時に叩きこまれたであろう、日本における戦時中の愛国教育が垣間見えたような気がした。

 ちなみに筆者の両親はその人とほぼ同じ位の年齢だが、韓国や北朝鮮、それに関係するものを毛嫌いしている。
 なぜかと言えば、日本で紹介される彼の国の愛国的・反日的主張は「戦中の日本を思い出すから」という。

 だが、「韓流」なるものに熱を上げたり、韓国をやたらと持ち上げて讃える同じくらいの年齢の日本人も結構いた訳だから、人間なんて、いい加減なものである。

 でも、それが一番怖いことなのでは?

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南山中腹で、なぜか上着を翻すヤッさんの勇姿…


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Vol.515 臥龍洞を行く [韓国カルチャー]

 ソウルの江北にある、臥龍洞(서울 종로구 와룡동)は、安国洞に隣接する小さな一区域である。

 有名な仁寺洞界隈から徒歩で7,8分程度だが、寂れた空気がいつも漂っている。

 秘園の脇に沿って、鍾路三街まで伸びる狭い裏路地には韓式の平屋が林立し、昔のソウルをちょっと忍ばせる雰囲気がある(道端に転がる犬のウンコには注意しましょう)。

 近所にソウルの代表的観光スポットが幾つもあるのに、街には活気がない。
 だが、それがここ独特の落ち着きを生んでいるともいえる。

 いつも人影はまばら、まだまだ古い旅館にラブホテル、生活臭が漂う個人経営のスーパーがあったりと、観光客を呼びこむような明媚さとは程遠い場所だが、急速に失われつつある「リアル・ソウル」の一端を見るようでもある。

 ここ数年、旧家屋や宿泊施設を改造した外国人向けのリーズナブルなゲストハウスが急増し、それに伴って外国人観光客の姿が一応増えた。
 時には地元の人よりも外国人の方が多く街を闊歩しているように見えるくらいだ。

 だから、表通りにはそういった客層を狙ったお店が随分増えたが、どうみても商売繁盛に見えなかったりするのが、やはり、この街らしい。

 臥龍洞から北西へ10分ほど歩いたところに今ではおしゃれな地として再生した北村洞があるが、ここと比較すれば、臥龍洞は昔ながらの町並みを観光資源として活用し損なったようにも思える。

 でも、仁寺洞や北村洞界隈が外国人向けのつまらない街角になってしまったことを考えると、昔の記憶がそのまま停止しているような臥龍洞には、それゆえの魅力があり、その程よい汚さと貧乏臭さには、なにやらホッとさせられるのであった…

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Vol.514 COEX MEGA BOXもリニューアル! [韓国生活]

 COX MALLに行ったついでに、MEGA BOXにも立ち寄ってみた。

 大改装が始まっても、ここは長期休館することなく営業を続けていたが、リニューアルに合わせた大幅な改修が既に行われていて、かなり様相が変わっていた。

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 昔のいかにも【韓国のシネコンです】的な雰囲気はだいぶ薄くなり、映画館というより多目的ホールのよう、全体的に開放感のある、おしゃれな雰囲気になったが、なぜかバーガーキングだけは同じ場所で相変わらず営業を続けていた。

 キャパシティの大きい劇場がある地下2F(…でいいのかな?)と、小さな劇場が連なっていた地下1F(…でいいと思うんだけど)を繋ぐエスカレーターは廃止され、一般大衆系は地下2F、小金持ちは地下1Fで、というように、コンテンツと客層を分けたようである。

 さすがは韓国、どこでも何でもヒエラルキーを持ち込みたがる。
 
 地下2Fはロビーと劇場の仕切りが無くなり、フラットに繋がっているような構造に変わったが、これは中々いい設計だと思う。
 おかげで、この手の映画館特有のすえた雰囲気がかなり和らいだ。

 そして、注目すべきは、劇場内に用途不明の滑り台が設置されたことだ(非常用か??)。

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写真右側に滑り台が見えます

 「なぜ、二つも?」という不可解さもあるけれど、別に邪魔な訳でもなく、空間プロデュースとして考えれば、これはこれでアリだろう。
 大勢の家族連れが順番を待って並んでいて、映画館とは別に大盛況だ。

 もう一つの大きな変化は、チケットカウンターの位置が大きく変わり、発券窓口と自動発券機が増えたことだろう。

 ここで、改悪なのでは?と感じたことが二点あった。

 まず、自動券売機が増えたのはいいのだが、現金が使えない。
 つまり、筆者のような実質イチゲンさんの外国人客は端から対象外であって、逆に利便性が悪かったりする。

 韓国の映画館で自動券売機が現金非対応なのは、何もここに限った話ではないけれど、行ってみないとわからないから困ったものである。
 やはり、何台かは現金対応にして欲しいなぁ…

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自動券売機も人でいっぱい

 その日は油断して予約をしておらず、マジで焦る。

 というのも、この自動券売機、現金購入が出来なくても、座席の空き具合は確認できるからで、その時に観ようと思っていた作品は、開場時間まで二時間近くあるのに、空きが数席しか残っていなかったのである!

 仕方ないので、慌てて整理券を取り、発券カウンターの方を使うことにしたのだが、これまた、待ち人数が80人…!!

 日にちが悪かっただけかもしれないが、しばらく来ていなかったので、COEX MEGA BOX特有の落とし穴をすっかり忘れていた。

 でも、トラブルはそれで終わらない。

 スタッフが直接対応する発券カウンターは処理もテキパキ、すぐ順番も回ってくるのだが、担当窓口がどこかは直前まで分からず、整理番号を表示する電光板をいっぺんに見渡せるポジションも無い。
 あっという間に別の番号へ変わってしまうので、全く気が抜けないのだ。

 こういうのはホントに嫌…

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分かりにくいのですが、以前と位置が異なります

 第二の問題点とは、この発券カウンターの処理能力が増した為、スピードについて行けない年配者や初めてやって来た事情の分からない客にとって、逆に購入し辛くなっているのでは?ということである。

 なぜ、こんなことを書くのかというと、かくいう私も待った挙句、状況が理解できていない上京組と思われる爺さんに、堂々と横はいりされたからだ。

 韓国は元々、日本よりも「順番を守る」だとか「並んで待つ」といった概念が相当薄い社会ではあるけれど、今のソウルは大分改善されている。

 だから、今頃まさかとは思ったのだが、考えてみればここは天下のCOX MALL、都会の流儀を全く理解できない人たちが大勢やって来ることを、すっかり失念していたのである。

 その爺さんはもしかしたら、ややボケていたかのかもしれないが、カウンターの女性がいくら丁寧に横はいりであることを説明しても、全く理解出来ないらしい。

 ちなみに、最近のソウルにおける大手シネコンは、スタッフ教育が行き届いているので、日本のシネコンより、顧客対応はマトモだったりするのだが、横はいり爺さんの耳に担当の説明は全く届いておらず、うつろな表情で作品名を呆けたように繰り返すだけ。

 やもなく彼女は筆者に目線で詫びつつ、その爺さんに発券対応を始めたが、そこでまた先に進まなくなる。

 爺さんが要求する大ヒット作の座席なんて、開場間際にそうそう都合よく空いているわけもなく、担当者は詫びながら要望の応じられない旨を伝えているのだが、この爺さんは、それが理解できない。
 ディスプレイで空席状況を見せても、うつろな表情で同じ言葉を繰り返している。

 「これはマズイ!」と筆者が焦る矢先、運良く隣の窓口が空き、事情を察した他のスタッフが早急に対応してくれたからいいようなものの、この時ばかりは、いくら韓国とは言え、殺意を覚えた。

 韓国で暮らしていれば、こういうイライラは日常茶飯事、失笑して終わりなのだけど(本気で怒っていたらやってられない)、あいにく今の筆者は刹那な一時滞在者に過ぎない。

 どうも、彼の地にしばらく来ない間に、「自分がよければ全てOK」という、韓国の「俺様ルール」をすっかり忘れていたようだ。

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Vol.513 新装開店!COEX MALL、でも… [韓国生活]

 2014年11月、ソウル・三成洞にある巨大な地下商業施設「COEX MALL」が二年近い改装期間を経て、遂にリニューアル・オープンした。

 近頃、ここら辺界隈は筆者にとって縁遠い場所になっていたが、思い出深い場所でもあるので、わざわざスケジュールを組んで訪れてみた。

 かなりの大工事を行っていたので、相当変わっているかと思っていたが、施設の基本構造にそれほど大きな違いはなく、昔の面影はかなり残っている。

 だが、以前あった店舗のほとんどが撤退するか、場所を変えたので、指標となるものが無くなり、どこに何があるか、さっぱり分からなくなった。

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駅寄りの出入口付近…

 「リニューアル・オープン」とは言っても、筆者が訪れた時分はまだまだ工事の真っ最中で、あちこちからドカチン音が轟いている。
 でも、ここはオープン当初から年がら年中どこかで工事をやっている場所でもあったので、営業している限り、改装は永遠に終わらないのかもしれない。

 地下街の基本構造が変わらないといっても、通路が増えた分、どこの通路がどこに繋がっているかが、かなり分かりにくくなっており、全体的に白を基調とした空間デザインもまた、訪れた者の方向感覚を狂わせ、迷路ぶりに拍車をかけている。

 とりあえず「韓国を代表する、おしゃれな地下街」という役割を担っているので、勘違い系外国人観光客や地方からのお上りさんにとっては眩しく輝いて見える仕様になっているとは思う。
 だが、買い物効率を求める人にとっては改悪と指摘されても仕方ない。

 巨大なタッチパネルが汎用フロアガイドとして随所に置かれているが、これがまた使いにくく見難くて、なぜオーソドックスな看板形式にしなかったんだろう、と疑問に思った(もっとも、苦情が殺到すれば、すぐ改修されるでしょう)。

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左側の黒いところに名物トイレがありました…

 これはあくまでも推測だが、意図的に客が迷いやすい構造にすることで、増床した商業スペースに足を運ばせる戦略になっているのではないだろうか。

 今回、訪れて一番ビックリしたのは、新しく出来た地下フロアに、かなりの店舗面積をとって、ガンプラ専門店「GUNDAM BASE」がオープンしていたことだろう。

 ソウルの三成という、韓国の成金や見栄っ張りが集まるような場所で、「GUNDAM BASE」なんて、ちょっと前なら異常事態である。

 でも、よーく考えてみれば、ここ数年の韓国におけるガンプラの展開は、「おしゃれな韓国男子のおしゃれな高級ホビー」というマーケティングを行っている節があったりする。
 だから、意外とこの店はCOEX MALLのコンセプトに沿っているのかもしれない(でも、モビルスーツ並べて「おしゃれ」と言われてもねぇ…)

 改装前のCOEX MALLは、韓国伝統の大衆的な地下商店街を継承しつつ、見栄を張りたい人にも、そうでない人にも対応しているバランス感覚が魅力の場所だったが、大改装後は、お金と暇のある韓国内外裕福層が顧客対象、といった感じが露骨になり、何かあれば韓国内左派勢力から叩かれそうだ。

 正直、昔から広く浅くで面白いものを置いてあるような地下街ではなかったけれど、今回の大改装で一層、「韓国ならでは」といった、いい意味での「カッコ悪さ」を失ってしまったような気がしないでもない。

 今後、ますます足が遠のくことを予感をさせる、ちょっと寂しいリューアル・オープンだった…

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以前フードコートがあったところ…

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Vol.512 はたまた新しい映画館なんだけど [韓国映画]

 2014年10月、ソウル・江南の片隅に一軒の新しい映画館がオープンした。

 劇場名は「JOY N CINEMA」といい、二番館と名画座を兼ねた構成になっている(※)。
 最寄りの駅は地下鉄三号線「新沙洞」駅なので、訪ねてみることにした。
(※)筆者が訪れた時点での話

 地図ではその所在はカロスキル沿いに描かれているが、新沙駅からかなり遠くロッテシネマ新沙洞(旧ブロードウェイ劇場)から徒歩10分経っても到着しない。

 それらしき場所に何とか着いてみれば、今度はどこにも映画館らしきものはなく、辺りは低層の雑居ビルばかり、目の前は狎鴎亭のアパート群だ。
 ちょこんと置かれた立て看板を見つけたものの、やはり、どこに劇場があるのか、さっぱり分からない。

 仕方ないので周囲をぶらつき、また立て看板のところに戻る途中で、やっと映画館が入っているビルを発見する。
 それはごく普通の雑居ビルで、だいぶ奥まったところに劇場名が書かれているだけ、しかも出入口前が駐車場になっているので、これじゃ、分からなくて当たり前だ。
 昔、狎鴎亭にあったスポンジハウスも非常に分かりにくい場所にあったが、それを思い出す。

 雑居ビル玄関にはチラシが置いてある以外、それらしき案内はなく、「本当にここか?」と不安な気持ちを抱きつつ、しょぼいエレベーターで地下に向かう。

 しかし劇場ロビーに入ってみれば、レンガ造りの上品な内装になっていて、なかなか広く、置いてあるテーブルや椅子の趣味もいい。
 ただ、男子トイレが全く別のフロアにあり、しかも異常に狭いので、どうしても、にわか作りの映画館といった感じである。

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 スタッフは基本的にアルバイトらしいが日時によって独りしかいないことがあって、発券に売店、映写管理に館内清掃まで全部やっているので、上映が終わるとかなりバタバタしていたりする。
 社会問題になった、すき家のシフトみたいだ。

 ロビーと劇場は扉一枚、カーテン一枚で隔てられているだけ、内部はかなりギリギリの作りで座席自体は悪くないものの、各列とも段差はあっても必要な高さが足りず、前席に誰か座ると基本的にアウトである。

 最後部列が鑑賞に一番良いと思われるが、それでも端の席はスクリーンに対して急角度の位置にあり見難く、そうでないところは冷暖房の風が頭を直撃という困ったレイアウトになっているので、どちらにしても究極の選択を迫られる。

 映写プロジェクターの光軸も、かなり低いところを走っているので、どの席でも客がちょっと動いただけで予期しない影絵が始まってしまうし、熱モヤが上映中かなり目立つ(まるで火事)。

 画面の明るさや音質については、筆者的に大きな不満は感じなかったが、競合すると思われる他のミニシアターに比べるとちょっと落ちる感じだ。

 画面の見辛さで例えると光化門のスポンジハウスに匹敵し、今のソウルにおいては、例えミニシアターであってもこれじゃ、かなりマイナスだろう。
 ロビーは一流だが、その他は…???といったところだろうか。

 結論として、どうしても観たい作品がここでしか上映していない限り、あまり進んで来ようとは思わない映画館だった。

 もっとも、江南界隈におけるこの手のミニシアターは短命なことがほとんどで、個性的なプログラムはそのうち他のシネコンと横並びになり、やがて劇場自体が姿を消す、というパターンになりやすいから、興味がある方は今のうちに行っておいた方がいいかもしれない。

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Vol.511 平壌冷麺の味 [韓国の食]

 久しぶりに冷麺を食す。

 なぜかと言えば、最近の韓国では値上がりが激しく、足が遠のいていたからである。

 日本のラーメンと同じで、真面目に作っているお店ほどコストパフォーマンスが悪いらしい。
 今ではメニューにW10000-と表示されていても驚かなくなった(東京の有名なラーメン屋とほぼ同じである)。

 セントラルキッチン方式で作っているチェーン店で食べれば安く上がるが、そんな代物をソウルで食べても意味はない。
 そういうお店は、麺がそこそこいけても、スープの味は別物と言っていいくらい、レベルが低い。

 そこは新沙駅から割りと近くにある有名店で、この頃では日本の観光サイトでも紹介されている。
 ソウルでは少数派の真面目な平壌式冷麺を出すお店だったので、知人と昼食を食べに行く。

 地元のランドマークとして有名な某病院裏にあるのだが、ここら辺一帯は江南地区の中でも再開発が遅れている場所で、家賃も若干安く、以前から映画関係者の事務所がたくさんある。
 昔ながら風情の食堂も幾つかあって(でも江南価格)、結構穴場かもしれない。

 新沙洞付近でグルメと言えば、いちげんさんの日本人観光客はカロスキルや某ケジャン屋方面に流れるためか、それらしき団体は今回、全く見かけなかった。

 その店は外観も中身も決して綺麗ではないが、こういう貧相な方がソウルの冷麺屋に関しては美味しいお店が多い。
 従業員がやたらいるので、時間帯によって、かなり混むと見た。

 出される冷麺は、ごく普通の風体だが、化学調味料を使わず、あっさりした味が特徴だという。
 さっそく、スープを一口すすってみれば酸味は弱く、トンチミの風味は控えめだが、その代わり、豚骨系の上品な味が濃厚に漂う。

 麺は日本の冷やし中華系太麺で、筆者が好むパリパリ系細麺ではないが、日本人にとっては親しみやすい触感だと思う。

 しかし、全体的に観るとボテッとしていてキレがなく、大味なのは否めない。
 スープが繊細でも、麺玉その他が雑なので、バランスが取れていないのである。
 量もかなり多く、もう少し麺を減らしてもいいのではないかと思った。

 だが今回ひいたのは、肝心の冷麺についてではなく、一緒に赴いた知人女性の行動だった。
 真っ昼間なのに「ビール飲まない?」と、店に入るや否や言い出したのである。

 筆者は日が出ているうちはアルコールを飲まない主義だが、その時は油断して、ご相伴にあずかったのが、大きな間違いだった。
 調子こいて二人で瓶ビールを三本開けたのはいいが、途端に疲れがどっと出て来た。
 「しまった…」
 大した酔いではないにしろ、この後、退屈なインディーズ映画を観なくてはならない。

 だが、彼女の方は会社に戻って、夜中まで激務である。
 以前は昼に堂々と酒を飲むようなことなど一切なく、それほど強い方でもなかったはずなのだけど…おい、おい??

 でも、考えてみれば、彼女に限らず、お酒に溺れかけているような若い女性を韓国でも見かけることが多くなった気がする。

 お昼にビールをちょっと程度なら目くじら立てることはないけど、前日に深酒してヘロヘロ状態で夕方に出社して来たり、朝まで飲んでいて、二日酔いフラフラで待ち合わせ場所に現れたりする。

 それは彼女たちが韓国男子と肩を並べ、第一線で働いているという事なのかもしれないけど、付き合いが長い女性だったりすると、その変貌ぶりには戸惑いも感じてしまう。

 どこでも生きることは辛いよなぁ、などと改めて痛感しつつ、その日の冷麺は複雑な後味を残すのだった…

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Vol.510 2014年☆韓国映画BEST☆part5(END) [韓国映画]

【印象に残った作品たち(2)】

『신의 한 수』
(日本語訳題名『神の一手』)
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出典:NAVER영화
 劇画が持つ破天荒さを映画で再現した快作です。
 イ・ボムスの凶悪ぶりが最高!

『해무』
(邦題『海にかかる霧』)
海霧210.jpg
出典:NAVER영화
 韓国映画の伝統を受け継ぎつつ、現代的な作品へと昇華させた秀作。

『도희야』
(邦題『私の少女』)
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出典:NAVER영화
 「これでもか!」というくらい韓国社会の暗部を叩きつける傑作ですが、政治的偏向に陥っていないところがいいです。

『자유의 언덕』
(邦題『自由が丘で』)
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出典:NAVER영화
 完全に予想を覆されてしまったホン・サンス=ワールドの秀作。
 異邦人を描いた映画としても優れていて、これからの「自称・日韓友好映画」一つの指標になるかも?

『님아, 그 강을 건너지 마오』
(日本語訳題名『あなた、この川を渡らないで下さい』)
(※)意訳すると『私をおいて逝かないで下さい』)
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出典:NAVER영화
 『牛の鈴音』の作劇スタイルを更に進化させた韓国ならではの異色作ですが、ドキュメンタリーとしては賛否両論の演出といったところでしょうか。

【印象に残った作品たち-番外編-】
 作品自体はかいませんが、韓国社会を知る為のよい教材になると考えたので、あえて次の二本を選んでみました。

『변호인』
(日本語訳題名『弁護人』)
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出典:NAVER영화
 故・盧武鉉元大統領がどうして、ここまで英雄視されるのか?

 これは日本人の多くにとって不可解でよく分からない現象ですが、『변호인』という映画は、それを感覚的に知る事ができる作品かもしれません。

 この『변호인』が左側の作品だとすれば、2014年末に公開され大ヒットした『국제 시장(国際市場で逢いましょう)』は、その右側にある作品という解釈もできると思います。

『명량』
(日本語訳題名『鳴梁海戦』)
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出典:NAVER영화
 5,6時間は必要な内容を強引に2時間弱にまとめているため、無理なダイジェスト版の感が免れず、ツッコミどころも満載ですが、文禄・慶長の役が起こった当時の日本について、ここまで真面目にアプローチした韓国映画は今までなかったと思います。

 この作品を巷の風潮に沿って、「反日映画」と切って捨てることは簡単ですが、それを言ったら、日本で熱狂的に支持されている戦国武将や幕末の志士を描いた作品群は、韓国から見れば「日本人が極右に憧れ、賞賛している危険な作品」ということになってしまうでしょう。

 この映画が韓国で大人の支持を受けた背景には、日本のそれに似た、現状を打破してくれる英雄への渇望と憧れもあったと思うのです。

 海戦シーンは、おそらく今の日本映画で無理なレベルの仕上がり、一見の価値あり。

 【総括】
 今回、シメの総括を書こう…と思ってみたものの、はたと手が止まってしまいました。

 なぜなら、韓国映画はブロックバスター、インディーズとも、既にビジネスモデルが確立してしまい、これ以上の変化は衰退するしか望めないのでは?と考えたからです。

 先日、日本の国営放送で日本のアニメコンテンツが抱える海外営業力の弱さを危惧する番組が放送され、日本側の問題を打破するヒントとして、韓国のある作品が紹介されていました。

 その作品は、かつての日本で家電やら自動車の海外輸出に取り入れていた手法を使って外国販売に成功している、という内容です。

 でも、それを観てつくづく思ったのは「だから、この作品は面白くないんだな」という事でした。

 残念ながら韓国映画群もまた、だいぶ前から、その轍を歩みつつあるのかもしれません。

END


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Vol.509 2014年☆韓国映画BEST☆part4 [韓国映画]

【印象に残った作品たち(1)】

『집으로 가는 길』
(日本公開時題名『マルティニークからの祈り』)
マルティニ210.jpg
出典:NAVER영화
 納得出来ないところもありますが、ツボを押さえた感動の力作。
 前評判の割には韓国内でヒットしなかったのは、今の時代を考えると仕方ないかも。

『수상한 그녀』
(日本公開時題名『怪しい彼女』)
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出典:NAVER영화
 ベタな韓国式コメディを逆手にとった爆笑の感動作。
 この作品を観て、「韓国映画はベタで古い!」と馬鹿にすることは簡単ですが、【そんなら同じことやって、超えてみろや!】と言いたいですね。

『한공주』
(日本公開時題名『17歳の涙 ハン・ゴンジュ』)
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出典:NAVER영화
 かつて日本で蔓延しかかった【韓国=夢の国】という【お花畑系】と真逆の内容ですが、韓国映画の良き伝統を引き継ぎ、インディーズの機動性を活かせた問題作。

『아버지의 이메일』
(日本語意訳題名『父が残したEメール』)
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出典:NAVER영화
 日本の『エンディング・ノート』にも繋がる、驚きのエンタティメント・ドキュメンタリー。
 優れた韓国現代史になっているところも見所です。

『역린』
(日本公開時題名『王の涙 イ・サンの決断』)
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出典:NAVER영화
 これまたベタ系の韓国時代劇に見えるかもしれませんが、大胆な解釈の脚本は韓国映画におけるエポックだったのでは??
 こういう歴史の翻案は「歴史の捏造、粉飾」とは言わないでしょう。

『피부색깔=꿀색』
(日本公開時題名『はちみつ色のユン』)
(※)厳密には韓国映画ではありませんが、選んでみました。
はちみつ色210.jpg
出典:NAVER영화
 特異な境遇にあった当事者だからこそ描けた、自伝ドキュメンタリー・アニメーション。
 自己のオリジナルを韓国に求めた結果は?という視点で見ると、非常に深い内容だったと思います。

(part5に続く)


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